私評 『 許楮 』

曹操を守る無敵のサイボーグ戦士 

 諸葛亮の発明品「木牛・流馬」は有名だけど、曹操だって負けてはいない。
 ……というより、曹操の発明品の方がずっとスゴイぞ。その名も

 「 多機能型 絶対無敵 機甲守護神・許楮 」
 ( マルチパーフェクトガードロボット・キョチョ )

 であるッ!! 

 どうだ、こっちの方が欲しくないか!?

 ……え?
 ふざけすぎじゃないか、だって?

 いやいや。この際、はっきりと言わせてもらうが

 歴史書に記されている許楮の記録は
 彼が本当に人間であったのか
 疑いたくなる記述で満たされているのだ。


 以下に許楮の性能をいくつか、挙げてみよう。


 * 「牛の尻尾を片手で持って、百歩以上引きずる」
     人間の肉体って、こんなコトができるようにつくられていましたっけ?

 若い頃、許楮は村の自警団として活躍していたらしい。
 賊軍が村を襲った際、でっかい石を投げまくって敵を追い払い、
 その後、講和を申し込んできた敵にあげた牛が村に逃げ帰ってきたときは
 その牛を引きずって返しにいったそうだ。

 むろん、敵がそんな許楮の姿を見て
 牛を受け取らずに逃げ出したことは言うまでもない。(笑)


 * 「主人の危機を、胸騒ぎで悟り外出先から戻ってくる」
     (注) 演義ではなくて正史の話ですぜ、ダンナ?

 官渡の戦いの際、一部の兵士達が曹操を裏切って暗殺の機会を狙っていた。
 親衛隊長の許楮が休暇で外出した時こそが、唯一のチャンス。

 で、間もなく好機到来。
 許楮が休暇で外出したので、隙を狙って曹操に近づいたところ……。

 あれれ、なぜか許楮が曹操の横にいるじゃありませんか!?
  ……そう、外出先で胸騒ぎをした許楮が帰還して曹操を守っていたのである。
 その姿に驚いている一党を見て、様子を怪しんだ許楮はその場で斬り捨ててしまったとか。

 胸騒ぎで主人の危機を察知するだけでも尋常じゃないのに、
 様子が怪しいってだけで味方を斬り捨ててしまうあたり、マジで怖い。

 
索敵センサーが過剰気味で、プログラム内容も
 『見敵必殺』 『サーチ アンド デストロイ 』 で絞られてるって言うかさぁ……。
 とりあえず、興味本位で近づいたりしない方がいいと思う。
 ロックオンされたら、確実に最期だ。


 * 「抜群の運動性能・起動持続時間を誇る」
     パワーだけでなくスピード・スタミナも凄いんだ、これが。

 曹操が馬超との戦いで劣勢になり、河を渡って退却したとき。
 逃げる曹操を守るため、舟にしがみつく味方の兵士を斬り捨て、
 飛んでくる矢の雨を馬の鞍をかざして防ぎ、空いている片手で船をこいだという。
 また、その際 舟の舵(かじ)を股ではさんで操ったというから、意外と器用だ。


 * 「主人が死んだら、血を吐いて哀しんでくれる」
     忠犬ハチ公のような健気で可愛い 一面もあったりする。

 曹操が死んだとき、
 「悲しみのあまり血を吐く」という見事なリアクションで悲しんだとか。

 しかし、耐久性に関しての心配は御無用。

 その後 何年も生きて曹操の孫の代まで仕えたというから、
 随分と頑丈にできていたと言えるだろう。

 つまり、そう簡単には壊れない。
 とっても長持ちする優良製品だったのである。


 
 ……以上。

 多くの人間離れしたエピソードを聞くにつけ、
 『 やはり許楮は曹操が作ったサイボーグだったのではないか 』
 と思えて仕方ないのは、私だけではないハズッ!

 ……どうだ、そこのキミッ!
 こんな多機能のロボット、欲しくないか? 

 一家に一台あれば、こわいものなしだッ!!



 ( もはや、すっかり許楮を人間とは思っていない管理人でした )