三国劇場
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内助の功(後編) |
原作: ゲスト 様 |
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文章: 天猿 |
【 前編のあらすじ 】
建興九年(西暦231年)、
諸葛亮による第四次北伐。
その、出立前。
諸葛亮は、過去三度における撤退の苦い経験から、
兵糧不足の問題をいかに解決すべきか、苦悩していた。
……そんな諸葛亮に、彼の妻 月英は秘策を捧げ……
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さて……。
ようやく、成都と漢中を結ぶ、蜀道にさしかかりましたか。 |
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ここからが、本番です。
岸壁にかろうじて沿って続く、命がけの細道。
険阻なるは、剣閣の地。まさに、難道の極み。 |
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しかし、蜀と魏をさえぎる、この山脈を越えずして、
北伐の成功はありません。
はたして、月英の発明品である『木牛』は、役に立つのでしょうか? |
……ウィン……ウィン……ウィン……
……ウィン……ウィン……ウィン……
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おお!?
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……カタン……カタン……カタン……。
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……カタ カタ カタ カタ……。 |
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思いのほか、スムーズな動きです。
それに……。
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……カタッ ゴトッ カタッ ゴトッ カタッ ……。 |
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意思のない機械だからこそ、命がけの悪路であろうと
恐れることなく進むことができるというわけですね。
なるほど、機械と言えど あなどれません。(笑)
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さすがは、わが妻 月英です♪ |
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……カタッ ゴトッ カタッ ゴトッ カタッ ……。 |
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ふむ。どうやら調子もいいようですし。 |
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ひと安心したら、眠くなってきましたね。
……ここは、少しだけ仮眠を取ることにしましょう♪ |
……半時ほど、経過……
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おいッ! 軍師殿!!
お、起きろぉ〜〜〜ッ!!
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……む、……ムニャ……。
な、なんですか……魏延……!?
私の貴重な睡眠時間を、邪魔しないでください!!
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こ、この!!
とにかく、目を開けてくれ!!
寝ていなくとも
悪夢は見れることを教えてやる!! |
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……へ?
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アンタが持ってきたガラクタが、
とんでもないことになっているんだよッ!! |
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……!!?? |
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……ピーガガガガガガッ、ピーガーッ、ピィーーッ!!……。 |
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……ガタンッゴトンッガタンッ…ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……。 |
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……ド ゴ ンッ、 ド ゴ ンッ、 ド ゴ ンッ 、 ド ゴ ンッ……。 |
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ひぃいいいいいい!?
も、木牛が逆走しているぅううう〜〜〜ッ!? |
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軍師殿、なんとかしてくれッ!! |
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そ、そんなコト言われても……。
あ……ああッ!!??
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しょ、兵糧が…物資が…ッ!? |
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次々と、谷の底へ……。(泣) |
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……ゲッヘッ、 ゲッヘッ、 ゲッヘッ 、 ゴガガガガッ……。 |
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オイ……?
こっちに向かってきてねぇか? |
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はい……。
凄まじい勢いで……。
兵士達まで、巻き込みながら……。 |
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うわぁああああああああああああッ!?(泣)
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……かくして、木牛の暴走により。
諸葛亮の第四次北伐は、頓挫することとなった……
後日、諸葛亮は成都に帰還し……。
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ただいま……。 |
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お帰りなさい、アナタ♪
あら、どーかされました? その傷は……。 |
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ど、どーしたもこーしたも、ありませんよッ……。
なんですか、あのトンデモナイ発明品はッ!?
もう少しで、殺されるトコロでしたよッ!!! |
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……まぁ、落ち着いて。
いったい、何があったのか、しっかりと説明してくださいな。 |
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狭い山道で、いきなり逆走するわッ!
逃げようとしたら、追いかけてくるわッ!! |
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まぁ!? |
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谷底に落ちて死んだ兵士は数知れず!
大惨事でしたよ!! |
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……うーん……。ひょっとして……。
兵士の誰かが、木牛のスイッチである舌を
マニュアル以外の方法で、ひねったのかしら? |
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……へ!? |
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左に二回以上回すと、
「自滅モード」 |
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右に三回以上回すと、
「追跡モード」 |
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ちなみに。……リセットボタンを押さずに、
複数の操作をすると、完全にバグるのよね。
各機が連動して、まったく予測不可能な行動を起こすから、
注意しないと……。 |
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……あの……。
舌がスイッチになっている、って一言も説明ありませんでしたが? |
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あらぁ〜……。そ、そうだっけ……?
ごめんなさい、ついウッカリしてたわ。 |
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…………。(怒) |
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てへ♪ |
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……………………。
( てへ♪ …じゃ、ないでしょうが。この破壊的迷惑女ッ!!) |
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……まぁ、こんなこともあろーかと♪
木牛のストックは、大量に生産しておいたから。 |
……ウィン……ウィン……ウィン……
……ウィン……ウィン……ウィン……
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( ひぃいいいいいいいいいいい!!) |
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今度は、上手に使って、キッチリと北伐を成功させてね?
あ・な・た♪
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その後。
諸葛亮は、再度の挑戦として、第五次北伐に挑む。
世に言う五丈原の戦いである。
しかし、無念にも陣没し、
ついに成都に戻ることはなかった。
なお、
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魏を倒すまでは、成都に帰還するつもりはありません。
それが、私の覚悟です。 |
……と、いう彼の決意には、
何か別の事情があったのかもしれないが。
……そのことについて史書には詳しく記されてはいない……。
天猿 コメント: |
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…三國志演義では、木牛作戦は大成功しています。
念のため。
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