三国劇場 |
内助の功(前編) | 原作: ゲスト様 |
文章: 天猿 |
建興九年(西暦231年)、
諸葛亮は四度目の魏領侵攻を計画。
世に言う第四次北伐である。
しかし。
この作戦を実行に移すにあたっては。
……事前に解決しなければならない問題があったのである……
はぁ……。 |
あら? アナタったら、またタメ息なんて ついちゃって……。 私でよければ、相談にのりますわよ? |
……いえ、お気持ちだけいただいておきましょう。 これは、国家に関わる問題ですから。(苦笑) |
ふふ……。 妻である私に対しては、 そのように気遣いされることはありませんわ。 なんなら、孔明様のお悩みのところを 当ててみましょうか? |
…う。 |
『 四度目の北伐、その勝算について』 そんな、ところでしょう? |
……うぅッ!? |
クスクスクス♪ アナタのことなら、すべてお見通しだわ。(はぁと) |
はは……。 月英、オマエにはかないませんね。(苦笑) |
……ふふふ。 どうやら、ここは発明を得意とする、私の出番のようですね。 こんなこともあろうかと、かねてから準備していたのよ♪ |
……!! |
ご覧になって! わが最高傑作!! |
おお!? (わくわく) |
カモン! 『木牛』!! |
ううううッ!? |
うふふ。 |
なんと、まがまがしい……。 これは、いかなる殺戮兵器なのですか? |
もぅ、アナタったら♪ 冗談がお上手ね。 |
こんなキュートなフォルムをした 殺戮兵器があるわけがないでしょう? これは、輸送機械ですわ。 |
……きゅ、きゅーと……? ( わが妻ながら、なんたる美的センス ) |
……孔明様。 過去、三度の北伐において 幾度も撤退せざるをえなかった一番の原因は、 兵糧不足の問題と聞いております。 |
この蜀の地は、幾重もの山脈に囲まれた天然の要害。 しかし、我々から攻めるにあたっては、それが災いとなるようですね。 山中の行軍・補給の確保は至難のわざですから。 |
本来、輸送手段のカナメとなるのは、馬や牛ですが。 山中では、その飼料が、絶対的に不足しているのです。 |
え、ええ……。 おっしゃる通りなんですけど……。 |
しかし! もう、ご安心くださいませ♪ |
この才色兼備の、スーパーレディ 月英が! 三国一の超絶美人にして、頭脳は創造神の領域にあるワタクシが!! アナタの悩みを完全解決!!! |
…………。 ( オイ?) |
わが発明、『木牛』を使えば、 補給の問題など、瞬時にしてノープロブレム!! |
動力は、内部機械による完全自動システム!! 飼い葉だの、飼料だの、そのよーなモノは一切 必要としません!! |
まさに、この発明こそ、究極の『内助の功』と言えましょう!!! |
…………。 ( うわー) |
さぁ、孔明サマ♪ この空前絶後の発明の恩恵に授かり、 とっとと魏の兵士をブチ殺してきなさい!! |
まずは、悪の帝国 曹魏を、完全に滅亡させてしまうのです! その先にあるのは、孫呉の併呑!! 天下統一!!! |
そして、漢王室復興の悲願成就!! その偉業を達成した時こそ!! 孔明サマの名は、歴史に不朽の輝きをもって刻まれるでしょう♪ |
そして、孔明サマを支えた貴婦人として、 ワタクシもまた、世の婦女子から 未来永劫に賞賛され続けるのですワ!!! |
…………。 |
オーホホホホホホホホホホホホッ! いやぁ〜〜〜ん、最高!! ワタクシったらステキすぎぃ〜〜ぃ♪♪ |
あ、あのぉー。 げ、月英さん? |
は!? |
……よ、よーするに。 この木牛、という機械を使えば。 輸送の問題は、解決されるのですね? |
い、いやだわ、私ったら♪ ちょっぴり、取り乱しちゃったみたい……。 |
……いえいえ。 私のために、そのような発明をしていただけるとは。 まったく、アナタは私には過ぎた妻ですとも。(笑) |
い、いやだわ、アナタったら♪ 孔明サマに、微力ながら お役に立てれば、本望ですとも。(笑) |
では、月英。 そろそろ、出立の時間。行って参ります。 ( ふぅ……。ようやく解放されますね……) |
はい。マイダーリン♪ 遠征の間は、その子達(木牛)を、 私だと思って可愛がってね♪ |
…………。 ( あらゆる意味で、そりゃ無理です) |
天猿 コメント: | ……いただいた作品では、月英は こんなヘンな女ではなかったのですが。 ついつい、ノリでやってしまいました。 |