三国劇場 |
女もいろいろ(前編) | 作品提供 : ひいらぎ 様 |
アレンジ : 天猿 |
三国志。
それは、様々な夢や野望を持った男たちが
群雄割拠し、覇を競った物語である。
多くの魅力的な男達が登場しては消えてゆき、
その鮮烈な生き様は、色鮮やかに乱世の模様を描いたといえよう。
しかし、そんな英雄達を支えた女性達の存在も忘れてはならない。
彼女達もまた、乱世の華として咲き誇っていたのである。
ここでは、
そんな男と女が織りなす物語の一部を、紹介しよう。
……コホッ……コホコホ……! り、劉備様。 どうやら、お別れの時が来たようですわ。(涙) |
何を言うか、甘夫人よ!? 荊州の地を得て、ようやく落ち着いた矢先に……。 |
それに、今 お前に死なれては 生まれたばかりの阿斗はどうなる? 親子三人、これから幸せになるのではないのか? |
ええ…。 可愛らしいお子が生まれて……。 |
思えば、お前には数え切れないほど苦労をかけた。 敗戦の際に、お前を置き去りにして 私だけ逃げたことすらあった……。 |
本当に、申し訳ないことをしたと思っている。 ……さぞ、恨んでおろうな。 |
いいえ。 再び、生きて会うことができましたもの。 |
でも、今度こそ本当にお別れね……。(涙) |
馬鹿なことを言うな! 頼む! 死なないでくれ! |
頼むから、私に罪滅ぼしをさせてくれ! お前を、幸せにしたいのだ!! |
ふふ……。 そのお気持ちだけで、充分……。 |
劉備様。 夢を追い続ける、アナタが好きだった。 アナタと会えた事こそが、私の……。 |
|
!!?? お、おい! 甘夫人よ……、わが妻よ……ッ。 |
………………。 |
……………………。 |
……ふ……ふふ。 ……はは……ははは……。 |
いやはや、 私という人間はたいしたロクデナシだ。 |
たった、一人の女も満足に幸せにできず……。 なにが、天下の民を安寧に導く、だ? |
とんだお笑い草ではないか。 |
『 私にはまだ夢が残されている 』 ……そう思ってしまう自分がいる……。 |
我ながら、まったくもって度し難い……。 |
劉備様。 夢を追い続ける、アナタが好きだった。 アナタと会えた事こそが、私の……。 |
……ぐぅう…、…ふぐぅ……ッ。(涙) うぉおおおおおおおおおおッ!! |
曹操どの! この関羽、おりいって頼みがございます! |
ほぅ。 いったい、どうしたのだ? |
貴公からの頼みとあれば、 むげにはできぬが……。 |
おぉ♪ ありがたきお言葉。 |
実は、ですな。 呂布の配下に秦宣禄という武将がいるのですが……。 |
ふむふむ。 |
その男の妻が、たいそうな美人なのです! わしもチラッと見た事あるんですが、物凄い美人でござった! |
曹操殿、呂布を破ったあかつきには、 是非とも秦夫人をわしに下され! |
そうかそうか、そんなに美しい女がいるのか。 しかも人妻とはのぉ♪ |
( おろかなり、関羽。 わしが人妻と聞いて、黙っているわけがないであろうに ) |
( おぬしにはすまぬが、 その人妻は、わしのモノとするつもりじゃ ) |
( ……悪く思うなよ。 わしはおぬしも欲しいが、人妻も欲しいのだッ! ) |
あー、関羽よ。 |
それほどの美人なら、是非とも一目見てみたいな。(笑) 落城した後、わしのところへ連れてきてくれぬか? |
もちろんです! 曹操殿も一度御覧になられて下され! ああ、今後の秦夫人との生活が楽しみだー! |
ケッ! 兄貴達、色恋沙汰に手を染めやがってよ! 俺達の男の絆はどうしたんだよ! |
だいたい、 女なんざ子供を産む道具のようなもんじゃねーか! 美人だかボインだかしらねーが、女の色香なんかに惑わされやがって! |
大体、男の楽しみっつーもんはだなぁ……。 |
男同士の友情とか、 |
酒とか、 |
部下イジメとか! そう相場が決まっているだろーが! |
………………。 |
ひそひそ。 ( 魏延殿。 それがしは蜀に来て日も浅いゆえ、よく知らぬのだが……) |
( 張飛殿とは、 ずいぶんと変わった考えをする御仁のようでござるな?) |
ひそひそ。 ( うむ。まごうことなき、人格破綻者だ ) |
兄者達だけじゃねぇ。 まったく世の中、どうかしてるぜ! どいつもこいつも、色恋なんぞに夢中になりおって。 |
げに素晴らしきは、 男の友情! 酒!! 部下イジメ!!! この三つなりッ。 |
男同士の友情は、 世の腐女子……もとい婦女子達から 支持を得るには欠かせない条件だし! |
酒に関しては言わずもがな! あれほど、うまいもんは無し! 酔っぱらって大暴れするのは最高の気分だ♪ |
部下イジメは、サドの血が騒ぎ、 部下の苦痛の表情やうめき声を聞くのがとにかくゾクゾクして……。 もぉ、楽しい事この上ない! |
ひそひそ。 ( な、なんという腐った認識……。もう我慢ならぬ! ) |
( それがしが、性根をたたき直してやるでござる!!) |
ひそひそ。 ( やめておけ。我らは、あくまで新参者なのだ ) |
( そもそも、あの男が、素直に 我らの言葉に耳を傾けるとは思えん ) |
うは♪ うははははははははッ♪ |
男の友情、ばんざーい! 酒、ばんざーい! 部下イジメ、ばんざーい! |
どうしました張飛殿!? さっきから大声で危険っぽい台詞を連発して…。 |
ひそひそ。 ( おお♪ 趙雲殿ではないか。 ちょうどいいところに来てくれた ) |
( かの御仁の言葉になら、 張飛殿も耳を傾けざるをえないであろう! ) |
ひそひそ。 ( うーむ。確かに、そうかもしれんが…… ) |
( あまり、期待せん方がいいぞ ) |
おお趙雲か! イイとこに来た! 俺の愚痴を聞いてくれ! 兄貴達が、女なんかにメロメロになりやがってさぁ……。 |
おお! さすがは張飛殿! 私も全く同じ思いです! |
げ!? |
ふはははは。 やっぱ、そうか。 相変わらず趙雲は話がわかる奴だ♪ |
はい。 女なぞ世にいくらでもおります。 まったくもって、興味がそそられません。 |
一番 カワイイのは無垢で純粋な赤子ですよ! こないだ殿と甘夫人様の間に 生まれた阿斗ちゃんなんか、もぉ最高ですよぅ! |
愛くるしくて、いとしくて……。 胸がキュンキュンきて、超萌エーってカンジですぅ〜〜♪ |
!!?? |
張飛殿と似たり寄ったりで、 趙雲殿も けっこう危ない人でな。 |
ショタならぬ赤子趣味だったりするんだ、これが。 |
天猿 コメント: | 関羽のエピソードに関しては、 ちゃんと史書に書いてあります。 曹操に、目をつけていた女性を奪われて 気が気でなかったとか。(笑) ちなみに、劉備に関しては。 ちょっと悲恋っぽく、まとめてみました。 己の野心のために、 家族に犠牲をしいてしまった劉備ですが、 本人はやはり苦悩することもあったと思われます。 ここでは、そんな劉備を書いてみたかった次第。 |