三国劇場 |
女もいろいろ(後編) | 作品提供 : ひいらぎ 様 |
アレンジ : 天猿 |
【 前回までのあらすじ 】
「英雄 色を好む」という言葉があるが、
それは英雄と呼ばれる人物ほど
女性に安らぎを求めようとするから、なのかもしれない。
しかし、男女の幸せとは、なかなか容易には得られぬもの。
悲しい結末で終わる愛の物語は多い。
三国志に登場する劉備や関羽もまた、
その例外ではなかったようである。
ちなみに、
…… 劉備三兄弟の一人 張飛の場合は どうだったかというと ……
あまり知られてはいないが、
嫁さんの父は、魏の夏侯淵。
つまり夏侯淵を義理の父に持つという
奇縁の持ち主であったりする。
ここでは、そんな張飛の素敵なラブロマンスを紹介しよう。
………………。 |
──ああ、甘夫人よ。 空の上から、見守ってくれているか? 阿斗も、ずいぶんと大きくなったのだぞ……。 |
うう…。 秦夫人は、それがしが先に目をつけていたのに。 曹操殿、うらみますぞぅ……。(涙) |
ケッ! 兄貴達ときたら、まだ色恋沙汰に浸ってやがる。 |
終わっちまった話を、いつまでもひきずりやがって。 未練たらしいったらねぇぜ。 |
兄者たちには、つきあっとれん。 狩りでもして、暇をつぶすか。 |
えーと、ここに杭を打って……。 ここを、縄で縛って、と。 ……よし、これで出来上がりだッ。 |
すごーい、パパ。 壊れた柵を、直しちゃったよぅ♪ |
ははは! 農民の日課の様な事も やってみると、なかなか楽しいもんだなー! |
そーだね、パパ! すっごく楽しいよ! |
そうかそうか! お前も夏侯家の血を受け継いでいるな。 |
惇兄も、堤防の修理とか 変わった趣味の持ち主だったりするしなぁ。(笑) |
あははは。 私も、薪拾いとか好きだよ♪ |
ははは、いい子だ。 よし、じゃあ少し拾ってきてもらおうかな? ちょうど、切らしていたみたいだし……。 |
パパは、ちょっと出かけてくる。 夕食までには、戻ってくるからな。 |
うん! 頑張っていっぱい拾っとくね♪ |
……う。(汗) 狩りでもして、暇をつぶそうと遠出したはいいが……。 |
道がわからなくなっちまった。 |
参ったな……。 確か、このあたりは魏の陣地にも近いし。 下手に迷い込んだりしては、シャレにならん。 |
……どーしたものか。 ん? あそこに、誰かいるようだ。 |
♪ ふん、ふーん ♪ |
おーい! すまんが、道を……。 |
あれ? 見慣れない顔だね? どーしたの、おじちゃん?? |
うッ………!? |
(な、なんだこのお子様は…!?) |
( 今までに感じた事の無い、何かを感じるぞ!) |
(胸もぺったんこだし、色気も全く無ぇのに……。 童顔のガキだというのに……) |
(でも、何なんだ!? この感覚は!! 俺はこのお子ちゃまに、いったい何を感じてると言うのだ!!??) |
ど、どーしたの? おじちゃん…? |
(ハッ…! そ、そうか… そうなのか…) |
(このお子ちゃまは女じゃない…。 というより、女になりきれていない存在。 例えるなら、華が咲く前の青いツボミ…… )) |
(しかし、この純粋なる美しさはどうだ!? まさに、天使の輝き。……じつに、魅力的だ……。 やたらと色気を振りまく大人のネーチャンなど、及びもつかぬッ) |
|
うう……うううううううッ!! |
お、おじちゃん本当にどうしたの!? 具合が悪いんだったら、お医者さんのとこに連れて行って…。 |
……うじょ、……もえ……。 |
へ? |
ようやく結論が出たぞぉッ! |
幼女萌え!!! 幼女萌えじゃあああああああ!!!!! ぐおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!! |
お、おじちゃん!!?? い、いきなりどーしたの!? |
がはははは!!!! 俺はようやく理想の相手を見つけることができたのだぁ!!! |
お嬢ちゃんは、今から俺のお嫁さんじゃああ!!!! |
ふえ? ちょ、ちょっと…?? きゃああああああああああ!!!! |
ただいまー♪ 今、帰ったぞぉ! |
……うう……ううッ。(涙) |
……て、あれ? どーした、ママ? |
あ、あなたぁあああ!!(涙) あの子が……、あの子がまだ帰っていないのよぉ!! |
な、なんだとぉお!!?? |
報告を申し上げます! 目撃者がいました。 |
残念ながら、娘さんは何者かに連れ去られた模様。 |
これは、まごうことなき幼女誘拐事件ですぞッ。 |
ぐぅ……ッ!!(怒) で? 犯人の人相は、わかっているのかッ? |
そ、それが……。(汗) ヘンテコな矛を持った、 酒臭い虎ヒゲの男だそうで……。 |
ヘンテコな矛を持った、 酒臭い…虎ヒゲの男だとぅ……? |
ア、アイツしか いねぇじゃねぇか……ッ! |
あの野郎……! |
……うう……ッ。お願い、アナタ。 あの子を取り戻して……ッ。 私達の、かわいい娘を取り戻してぇッ!! |
当然だッ! |
娘を取り戻すだけで、済ませるものか。 |
張飛……。 ……殺してやる……ッ。 |
貴様だけは、貴様だけはぁッ!! この身を鬼に喰らわせても、必ず殺すッ!! |
張飛殿…。 貴方も子供の無垢かつ純粋な心の、虜となったのですねー。(笑) |
作者様 コメント: | この作品についてのコメントといったら… 時代背景とか殆ど無視してますねー そして張飛と趙雲がかなり危ない奴ですね(笑) 天猿様の武将列伝が大いに役に立ちました。 |
天猿 コメント: | うーん。時代背景に関しては……。 確かに、無視している部分がありますね。 張飛が、夏侯淵の娘を妻としたのが 「官渡の戦い」の前後。 劉備が、甘夫人を失ったのが 「長坂橋の戦い」の後。 ……でも、その他は おおむね嘘ではないかと。(笑) あ、ただ。一応、張飛の名誉のために一言。 実は、張飛が夏侯淵の娘を妻としたという話自体、 蜀王朝が創った嘘であるという可能性もあるのです。 司馬懿のクーデターの後、 夏侯淵の息子、夏侯覇が蜀に亡命した話は よく知られていますよね? しかし、その後 夏侯覇が官位の上では 姜維以上に出世したことはあまり知られていません。 蜀王朝としては、夏侯覇を優遇することで 内外への様々な宣伝効果を狙ったと思われます。 んで。 その出世の理由として、 「夏侯覇が劉禅の妻と血縁である」という 「世間では、知られていなかった事実」をでっち上げた。 ……そういう説も、あるというワケ。 とは言え。 個人的には 「張飛ロリコン説」の方がスキャンダル性があって 興味深く感じますし。(笑) 自分のサイトでは、そっちの説を 大々的に喧伝させていただいております。はははは。 |