三国劇場 |
○年○組 孟徳先生(バイオレンス) | |
作品提供 : 庭 様 |
国立洛陽高等学校。
後漢国屈指の進学校であったが、
時代の流れと共に次第にその輝きは薄れていった。
自由の名を借りた無秩序。
欲しいがままに振る舞う生徒達。
しかし。
荒廃した教育の場を救うべく。
今、一人の革命教師が赴任した。
……これは ある教師が挑んだ戦いを、あますところなく記録した物語である……
教頭先生。 たしか今日でしたな? 新しい先生が来られるのは? |
ええ、校長。 もうすぐお着きになると思いますが。 |
失礼しますぞ。 |
おお、あなたが曹先生ですか。 よく本校に来て下さいました。 |
ええ。この学校は私の母校。 私がここに赴任したのも天命というものでしょう。 |
(なんという堂々した威厳。ただ者では無い!) |
はは…。いやいや、実に頼もしい。 では早速で悪いんだが、 君には3年蜀組を担任してもらいたい。 |
ふむ。3年生のクラスですか。 彼らにとっては、進路の決定を含めて、大切な時期。 責任重大ですな。 |
こ、校長…!? よ、よろしいのですか? 3年の蜀組は、問題児達の集まりですぞッ! いくらなんでも、新任早々 あのクラスをお任せするのは……。 |
……く、口出し無用です! こ、これは曹先生を見込んでの判断。 決して、厄介ゴトを押しつけようとしているワケではなく……。 |
……なるほど。 少々、いわくつきのクラスということですか。 |
びくぅッ!? |
ははははは!! どこであろうと構いませんよ! この孟徳にお任せ下さい! |
おぉッ♪ さすがは曹先生。 よろしくお願いしますぞ! |
(ふっ。赴任早々、あの悪名高い蜀組とはな ) |
( 思えばこのクラスは、俺が学生のときから札付きのワルばかりだった ) |
( 今も現に、この廊下の汚れ様。 高校の廊下に酒瓶が転がってるか、普通? しかもゲロまで吐いてあるときた。……何なんだ、まったく……) |
( もっとも、この俺の英知を持ってすれば 不良生徒など恐れるにたらず、だ ) |
貴様らぁっ!! 出席を取るぞ!席に着けい! |
げふ〜い。何だぁテメーはぁ?(泥酔) |
今日から貴様らの担任になった曹操だ! 文句あるか!? それと廊下にゲロったのはお前か!? |
文句ぅ? あるに決まってんだろ〜っ! ゲロォ? おーよ、吐いたのは俺だ〜! |
……ふ。威勢のいいことだな。 ところで、この季節にしちゃ 妙に肌が浅黒いが。 日焼けサロンにでも、通っているのかね? |
ええい、わけのわからんコトを。 面倒 くせぇ、オマエは死ねや〜っ! |
……まったく……。 人の話は、最後まで聞け! |
ぐえええええ〜〜っ! レ…、レバーに……、 肝臓にコブシ打ち込みやがった……!(半泣) |
不自然な肌の浅黒さ。 アルコールの未分解にともなう、日常的な嘔吐。 それらは、肝機能障害の典型的症状なのだよ。(笑) |
ひぃいいいッ! ……そ、そこを殴るのだけは勘弁してくれ〜〜! い、医者にも言われてるんだよぉ、 マジやばいんだって……命にかかわるってよぉ……。(涙) |
貴様みたいなアル中では相手にならんわ、たわけが! |
おのれい!よくも益徳を! この青龍刀の肥しにしてくれるわ! |
……待て待て。 やりあう前に、ひとつ聞かせてくれ。(笑) |
ばっちりセットされた、その見事なヒゲ。 使っている整髪料はポマード系か? それともワックス系かな? |
ふふん♪ 両方 使っておるわ! それが、どーかしたかぁ? |
そいつは、好都合。(笑) |
ぎ…ぎゃあああああ〜〜っ! ヒゲがぁ……ヒゲが燃えてるぅうううッ。(泣) だ、誰か火を消してくれぇええ〜〜〜〜〜!! |
ポマードとは、練り香油。 ワックスとは、蝋(ろう)をもとにした化学製品。 ……どちらも、至極 燃えやすい……。(笑) |
雲長…益徳…。 おのれ曹操! |
おいおい、そう熱くなるなよ。(笑) |
……ところで。 オマエ、生徒手帳は読んでいないのか? そのように伸ばしていいとは、書いてないだろう。(笑) |
の、伸ばしすぎ? ……な、なんのコトだ? |
肩まで届きそうな、その耳のコトさ♪ |
て、てめぇ〜〜〜ッ!?(怒) ひ、人の気にしているコトを……ッ。 |
うぎゃーーーーっ! こいつ耳たぶ噛みやがったーーーーーっ! 痛てえええええ! |
ふがふぁふぁふぁ。 ふっふぁがふぁ? ふぃふぃっふぇ、ふふぃふぉがふぁふぁえふぃ ふぃっふぁふほ、ふぁんふぁんふぃへほろはらほへれしふぁうふぁふぃーふぇ♪ 【 訳 】 ふははははは。 知ってるか? 耳って、後ろから前へ 引っ張ると、簡単に根本から取れてしまうらしいぜ♪ |
ふぉふぉふぃふぃほふぁふぁらふぁ はひらはふぃほーほふふぃふぁん。 ふぃっふぉ ふぉーふふぃひへふぃはほー♪ 【 訳 】 この耳の長さは、明らかに校則違反。 いっそ、坊主にしてみるかぁ♪ |
やめてやめて! 耳なし芳一はイヤァアアアッ。(泣) |
ふははははははははは! 所詮『蜀組』なんぞこの程度か! |
これからは蜀組は俺のものだ! この俺がクラスのボスなのだぁっ!! わかったか、この腐ったミカンどもめ!!(笑) |
……うぅ……、わ、わかりました……。 |
よろしい。では、まず手始めとして。 毎月 俺へ上納金を おさめること。(笑) 金額は、一人 10万円!! |
な、ななななな?? き、教師が生徒から金を巻き上げるのですか? |
ははははは。 弱者が強者に搾取されるのは、資本主義経済の基本であろう? 社会に出る前に、俺の授業でしっかり学んでいくがいい♪ |
……で、でもでも……。 俺達の家、貧乏なんです。 小遣い全部 かき集めても、そんな金 とても無理……。 |
親の財布からでも、盗んでこいやぁッ!(怒) ステッカーでもパー券でも、 売りさばいてくりゃいーだろーがッ!! |
……お、鬼……。(泣) |
それと、もぉ ひとつ。 女だ。 ナンパでも拉致ってでも、手段は問わん。 しかし毎日 必ず一人は連れてこい。 |
そ、それも無理っス。 俺たち、この顔ですから。ナンパして成功した試しがないですし……。 ら、拉致なんて人の道にはずれたマネは、とてもとても……。(泣) |
だったら、 てめぇのカノジョでも母親でも 引っ張ってきやがれッ! |
幸い、俺の許容範囲は広いからなぁ♪ 好きな男のいる女とか、 熟れた人妻とかは むしろ大歓迎だぜ?(笑) |
……こ、この人っていったい……。(泣) |
文句のあるヤツは皆殺しじゃあーーーーーっ。 ふははははははははははははははッ!! |
何をやっておるのだ孟徳! |
げっ!? 惇! お前、ここの学校だったのか! |
か、夏候惇先生……!? |
蜀組の方からやたら悲鳴が聞えるから、 気になって来てみれば……、何だこの有様は!? オマエ、ちょっと来い! |
え? ちょっと!? アレは冗談だってば! 軽い冗談だってば! |
やかましい! さっさと歩け! |
……え、えーと……。 俺たち……。 とりあえず、助かったのかな? |
……ああ。そのようだ……。 しかし、いい機会だ。 ……俺、もう不良やめるよ……。 |
うん。 間違っても、あんな大人になりたくないもんな……。 |
父兄の皆様へ。 大切なお子様の進学先には、迷うことなく わが 『私立曹魏学園』を お選びください。 将来、国を牛耳る……もとい、支える 素晴らしい人材へと育て上げることをお約束しましょう!! |