三国劇場 |
激突!長坂橋(前編) | |
作品提供 : 迦楼羅 様 |
はぁ!? 曹操が攻めて来ただぁ? |
七月って言やぁ、劉表殿が亡くなる一ヶ月も前じゃねぇか。 何でそんな大事な情報が最前線であるここに入ってこねぇんだ! しかも、曹操のいる宛城と樊城は目と鼻の先だぞ! |
どうやら、我々が劉表殿の長男、劉g殿と親しくしていた為に、 劉j殿に逆恨みされたようですね。 どうします劉備殿? この兵力では、曹操の軍勢を防ぐことなど不可能ですぞ。 |
じゃ、逃げよう。 この世に命より大切なものなどないからな! |
いや、確かにその通りではありますが……。 (胸を張って言うことでも、ありますまいに ) |
わが主君、劉備将軍。 今 襄陽を攻めれば、将軍はやすやすと荊州の支配者になれますぞ。 |
( ふふふ……こうして襄陽に籠りつつ、 江夏の劉g殿と合流すれば。 曹操を撃退し、独立勢力を築くことを夢ではない ) |
( やっぱ孔明ちゃんって天才♪) |
お前、馬鹿か? |
へ? |
劉表殿は、荊州では神のように尊敬されていた、えら〜い御方だったのだ。 俺みたいな客将が、いきなり その人の子供を追い出して国を奪ってみろ。 曹操より先に、民から袋叩きにされてコンクリート詰めだぞ。 |
それに劉表殿は同姓ということで多大な恩を受けた。 今となって、恩を仇で返すわけにはいかないんだよ。 |
はぁ……。 |
(臥龍と称された天才も、まだまだ青いというべきか) |
( まったく、先ほどの発言、確実に放送禁止モノだぜ。 内政に関しては一流だが、軍略に関しては二流以下かもしれぬ ) |
( こーゆー危なっかしいヤツに、 強大な権力を与えるわけにはいかねぇよな。以後 気を付けよっと) |
(チッ、よくもこの私に恥をかかしてくれましたね。 そうやって世間体を気にしているようじゃ、 いつまで経っても漢室復興など、夢のまた夢! ) |
(そこんとこ分かってんですかねぇ? この手長猿は!) |
……ん? どーした、孔明。 まるで親の仇でもみるような目で、 私を見つめおって♪ |
いえいえ、劉備殿こそ。 出る杭は打てと言わんばかりの目で、 私を見つめてくれちゃって♪ |
……ははは。 気のせいだ、孔明よ。 |
……ふふふ。 やっぱ、気のせいですよね。劉備将軍。 |
あははははははははは♪ |
殿様〜! 劉備様〜! オラたちも連れてってくんろ〜。 |
おぉ、民の諸君。 この私を慕って駆けつけてくれたのかい。 |
しかしながら、殿。 この軍民たちと荷車の数、ハンパじゃありませんよ。 これ以上増えては進軍の妨げになりかねませんが? |
あ〜。いいのいいの。 民は多ければ多いほど良し。 |
それに。 いざとなったら盾になってもらうからねん♪ |
……げ。 (この人ってば、表の性格と内心がまるで逆。 しかも、とても仁者とは思えない発言を平気で言ってのけてるし) |
ん♪ 趙雲 ちゃん、どーかした? |
……い、いえ。なんでもありません。 (まぁ、こーゆー 図太いところが、 この人の魅力でもあるのだが) |
なぁにぃ〜! 劉備は既に逃走しただとぉ〜!? |
あぁ。 どうやら劉備たちは、江陵へ向かったらしい。 |
なんだと! 荊州一の兵站基地である江陵を占領されてはいかん! 夏侯淵! 張遼! 張郤! 許楮! |
すぐに精鋭の騎兵を集め、劉備軍を追撃するぞ! |
は! |
ふぁ〜い。 |
天猿 コメント: | 劉備が諸葛亮との関係を、 『水魚の交わり』という言葉でたとえたことは有名です。 「自分にとって、なくてはならない存在」 と、いう意味ですね。 しかし、劉備が諸葛亮の進言に対して 全幅の信頼をおいていたか、どうかというと話は別のようです。 事実、ホウ統・法正が生きていたころは、 諸葛亮に戦略的な活躍の場は与えていません。 もっとも、内政の充実や法の設置、においては 諸葛亮をフル活用しています。 放浪の傭兵隊長から、一国の君主へ。 諸葛亮は、それにあたって不可欠な存在ではありました。 劉備にとっての、『水魚の交わり』という言葉は、 単なる美談的な意味ではなく、 リアリスト的な意味を強く含んだ表現であったと、思われます。 |