三国劇場
|
喰らえ、我が想い ( 後編 ) |
|
|
作: 天猿 |
【 前回までのあらすじ 】
呉夫人から相談を持ちかけられ、
孫策の短気な性格を直すべく決意した周瑜。
同僚の虞翻からのアドバイスで
『 孫策の短気はカルシウム不足が原因 』
という結論に達し、
いざ孫策のもとへと、心を馳せる。
しかし、いささか気負い過ぎの様相は否定できない。
さてさて、どうなることやら。
 |
♪ ふん、ふふ、ふーん ♪ |
 |
へへ。
今日は日差しも温かくて、いい天気だ。 |
 |
ふふ。(笑) |
 |
こうやって、一人で青い空を見上げていると。
日頃、つまらないコトで腹を立てている
自分が恥ずかしくなってくるぜ。 |
 |
考えてみりゃ、
けっこうストレスをため込んでいたのかもな〜。(苦笑) |
 |
オヤジの跡を継いだはいいけど、
色々 うまくいかないコトも多いしさ……。 |
 |
しかし、ここ最近 オフクロには
けっこう心配かけていた気もするし。 |
 |
いいかげん俺も落ち着いて
今後は、親孝行を心がけるようにしようかな。(笑) |
だだだだだだッ
 |
伯符ぅうううう〜〜〜〜ッ!! |
 |
う、うわ!? |
 |
貴様というヤツは!
また一人で、ひょいひょいとほっつき歩きおって! |
 |
それが一国の君主のすることか! |
 |
いったい、どこまで
この私に心配をさせれば気が済むのだ!?(怒)
|
 |
そ、そう怒るなよぉ〜〜。
俺にだって、一人で
自分と向き合いたくなることがあると言うか、さぁ……。
|
 |
ふざけるな!
オマエに、そんな人並みの感性があってたまるか!!
|
 |
ううッ!?
|
 |
無類の戦争好きにして、殺戮の申し子!
血塗られた牙で屍肉をむさぼる、地獄の狂犬!
|
 |
まさに、ケダモノ以下のバケモノ!
それが、オマエではないか!!
|
 |
ひ、ひどい言われようだな。(汗)
|
 |
黙れ黙れ黙れ!!(怒)
今日という今日は容赦せん!
オマエの腐った性根、たたき直してくれるッ。
|
 |
と、ときに周瑜よ。
さっきから、気になっているのだが……。
|
 |
ふむ?
|
 |
オマエが両手に持っている、
バケツいっぱいの生ゴミ。
|
 |
それ、いったい何なんだ?
|
 |
な、生ゴミだとぅ!?
失礼な!!
|
 |
私が、呉の城下を駆けずり回って
集めてきた魚の骨だぞ!
|
 |
食堂の残飯や、市場の廃棄物の中から
拾い集めてきた魚の骨だぞ!!
|
 |
それを生ゴミ呼ばわりするとは何事かッ?(怒)
|
 |
( それを生ゴミと呼ばずして、なんと呼ぶのだろう?)
|
 |
……え、えーと。
は、畑の肥料にでもするつもりなのか? |
 |
はははは。
面白い冗談だなぁ、伯符。
こんないいものを、肥料などに使うわけがないだろう。 |
 |
??
じゃぁ、どーするんだよ。それ? |
 |
決まっているじゃないか。
オマエに食べさせるつもりだ。 |
 |
な、なんだとぉう〜〜〜ッ?? |
 |
なんだ、その反応は?
まさか、イヤと言うつもりではあるまいな? |
 |
イヤに決まっているだろーがッ! |
 |
周瑜、オマエ いったい何考えてやがるッ!? |
 |
…………。
説明が、必要なのか? |
 |
は、はぁ?? |
 |
私が、オマエのために何かすることに
わざわざ説明が必要なのか?
|
 |
う……。 |
 |
私とオマエとの友情に、
言葉の説明が必要なのかと聞いているのだッ!!(怒) |
 |
ううううッ!? |
 |
しかし、あえて言葉にするならば。 |
 |
この魚の骨の山は、
私とオマエの友情の証と思うがいい。(笑) |
 |
さ、魚の骨がか? |
 |
そうだ。
この魚の骨に、
私のオマエに対する想いが込められているのだ。 |
 |
さぁ、食え!
むさぼるように食うのだッ。 |
 |
そ、そんなコト 言われても……。 |
 |
あくまで私の気持ちを拒もうというのなら、
オマエとの友情はこれっきりだぞッ。 |
 |
……ち、ちくしょう……。
わ、わかったよぅ。
食えばいいんだろ、食えば!! |
ボリ ボリ
 |
( うう。……生臭い……気持ちワリィ……)
|
…… ボリ ボリ ……
 |
……むぅ?
いまひとつ、食が進んでいない様子だな。
|
 |
仕方がない。
少々早いが、取っておきを出すとするか。
|
 |
げ!?
まだ何かあんのかよぅ?
|
 |
うむ。
とくと見るがいい!!
|
ずい!
 |
『 ぎうにう 』 だ!! |
 |
ふふふふ。
これを手に入れるのは、苦労したぞ。(笑)
|
 |
う、うわ……!?
なんだ、この不気味に白く濁った液体は? |
 |
ふふふ。驚くのも無理はない。
|
 |
これは、『 ぎうにう 』 といってな。
牛の乳を搾って集めたものなのだ。
|
 |
ちょ、ちょっと待て!?
まさか、そげな気色の悪いものを
飲めというんじゃないだろーな? |
 |
そう言うと思って
飲みやすいよう人肌に温めておいた。
|
 |
……先ほどまで、私の懐の中でな。(笑)
|
 |
う、うぇえ……。
頼む。さすがに
それを飲ませるのは勘弁してくれ。(涙) |
 |
何を言うか、伯符!
この期におよんで、まだそのようなことをッ!? |
 |
あくまで私の気持ちを踏みにじるなら、
オマエを殺して私も死ぬまでだッ!! |
 |
…………。
( こ、この男だきゃぁ……) |
 |
ちくしょうッ。
飲めばいいんだろ、飲めば!! |
ゴク ゴク
 |
( う、うぇ。……マジで吐きそうだ……)
|
…… ゴクリ ……
 |
くっ、 く くく……
く くぅ、くっく、くっくっくっく………♪
そうだ、その調子だ。
|
 |
私の気持ちが込められた
生温かい白濁の液を、飲み干すがいいッ♪
|
 |
周瑜よ。
それ、なんだかすごくイヤな感じがする表現だぞぅ。(涙) |
 |
ええい、つべこべ言うな!
|
 |
魚の骨も、『ぎうにう』も
まだまだ沢山 残っているのだぞ?
|
 |
ま、待て!
無茶いうなよ、全部は無理だって!(涙) |
 |
無茶だと? 無理だと?
まったくオマエは何を言っているのだ!(怒)
|
 |
出されたモノを、
残さず食べるのは当たり前のコトではないか!?
|
 |
ええぃ、まどろっこしい!
いっそ、こうしてくれるわ! |
ドブ ドブ
 |
げぇッ!!??
|
グチャ グチャ
 |
ふははははは!! |
 |
( ……こいつ、混ぜやがった……)
|
 |
ふふふ。
なんとも凄まじい色と臭いよ。 |
 |
……………。
|
 |
まさに、
『良薬、口に苦し』といったところか♪ |
 |
コレを、口にしろと……?(汗)
|
 |
情けないぞ、伯符!
オマエは、その程度の男だったのか!! |
 |
たかだか魚の骨や牛の乳から
逃げ出すような男が天下を取ろうなど、片腹痛いわッ! |
 |
笑止千万とは、まさにこのことだな! |
 |
ぐぅううう〜〜ッ!?
|
 |
上等だぁ、食ってやるッ!
この孫策サマのクソ度胸、
見せつけてやらぁ〜〜ッ!
|
 |
おお♪
その意気だ。
それでこそ、我が親友 孫伯符よ。 |
ガツガツガツガツ
 |
うぉおおおおおおおおおおッ!!(涙)
|
 |
ふふふ。
これで伯符の『かるしうむ』不足は解決だ。 |
 |
当主の怒りっぽい性格も改善され、
孫家の未来は明るいものとなるだろう。 |
 |
めでたし、めでたしだな。(笑) |
 |
ちくしょう、ちくしょうッ。
なんで、この俺様がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ?
|
 |
周瑜のヤツに、
悪意がないだけタチが悪い。
|
 |
いったい、この怒りの矛先は
どこにぶつければいいのか!?
|
後日
 |
おのれぇええええッ!
魏騰のヤツめ、たかが会計係の分際で
名門であることを鼻にかけやがって!
|
 |
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!
金玉ねじ斬って、
口の中に詰め込んだらぁッ♪
|
 |
ひぃいいいいいいい!? |
 |
ま、待ちなさい! 伯符!
貴方が、これ以上 むやみやたらと人を殺すなら
母は井戸に身を投げて死にますよ!! |
ドタバタ ドタバタッ
 |
気のせいでしょうか?
ここ最近、
孫策様はますます怒りっぽくなってしまった様子。
|
 |
うむ。
なんでも、周瑜殿の手で無理矢理
ゲテモノを食べさせられることが重なり、苛立っているとか。
|
 |
はてさて?
いったい周瑜は何を考えておるのやら。
|
とかなんとか。
結局、孫策は 自身の短気が災いし、
怨みを買った者達の手によって暗殺されてしまうのだが。
その後を継いだ孫権も
兄 孫策と同様、かなりの問題児で
呉の人々に苦労は絶えなかったそうな。
♪ ちゃんちゃん ♪
天猿 コメント: |
|
一部、下品な表現があってスイマセン。
リアルに想像して、
気分を悪くされた方には
伏してお詫び申し上げます……。(汗)
|
