三国劇場
りゅうび
作: かいがら 様




界橋の戦いののち。

劉備にホレぬいた趙雲は悩んでいた。


この当時、趙雲は北方の雄 公孫に仕えており、

義理堅い性格ゆえ、趙雲は劉備の誘いに対して

にわかに応じることができなかったからである。




劉備(回想) 趙将軍のような勇猛の士が私に力を貸してくれたら、どんなに嬉しいことか…




趙雲 ああ…寝ても覚めてもあの劉将軍のお言葉が…。
私のほうこそ…。

私こそ、あのような方にお仕えしたかったものよ。

趙雲 しかし…

我が殿 公孫様には恩義を感じている。
出奔して、劉将軍にお仕えするのはいかがなものか…。

趙雲
そうだ!
劉将軍をよく知る方々にその人となりを聞いてみよう!
劉将軍をもっとよく知ってから……決断しても、差し支えあるまい!

……ふむ、まずは関羽殿を訪ねてみるとしようか。









関羽 兄者? 非常に素晴らしい漢だ。

人の上に立つ資質と風格を、生まれつき持っておられる。
私も同じ時間を共有できて良かったと思っておる。

関羽 私も兄者から学ぶことは多いな。

なんせ常に寝食を共にしておるからな。
ははははは!



趙雲 (だ…男色!? ま、まさか…!

 そ、そうだ、張飛殿にも聞いてみよう!)








張飛 兄貴?
ああ、面倒見いいし、優しい、いい人だぜ!
オレの上に立つ人は、兄貴しかいないな。

張飛
やることも豪快だしな!
横暴な督郵官をブチのめした時はスカッとしたぜ!

さすが兄貴!ってな!
督郵官のヤツ、息もたえだえだったぜ!

ガハハハハ!





趙雲 (!? ぼぼ、暴行!? い、いや、そんなはずはない! 

 そ、そういえば殿は劉将軍と同門! 今すぐにも…!)







公孫サン ん? 劉弟のことか?

あいつとは同門でな。すぐに親しくなったものだ。
豪傑を引き付ける魅力を生まれながらに持っているなぁ。

公孫サン 思えばあの遊学ももう何年も前か…。

あの頃から劉弟は荒っぽい若者を連れて回ってたなぁ。
狩りと称して、よく馬を乗り馴らしていたものよ。

趙雲 (ヤ、ヤンキー!? 暴走族!?)



公孫サン
まぁ勉学には励まなかったな。あいつは、とにかく。

授業を無視して剣戟の話ばかりしていたので…
よく先生から怒られていたものよ。

「一門の期待を背負って遊学している身で、学を身に付けぬとはいかなることぞ」

……ってな。(笑)



趙雲 (が…学級崩壊…スネかじり…)





公孫サン
ああ、授業中に
「オレもいつか皇帝のよーに、桑の車蓋の車に乗るぜー」
って叫びだしてこともあったなぁ。

先生に大激怒されたものよ!
ははははは!



趙雲 ……
……あは…あははは…




公孫サン …ん?
どうした?

お、おい!?


趙雲がショック状態から戻るのに、じつに3日を費やしたとか。





かいがら様 コメント: ……ほんとのとこ、風格はあったみたいです(笑)



天猿: ……史実における劉備は、若い頃はかなりの道楽息子だったみたいです。

地元のちょいとした金持ちの親戚で、着飾ることが大好きで、
遊侠の士達とつるんで、遊び歩いていたとか。

しかし、魏の曹操・呉の魯粛の青年時代も似たようなものでした。(笑)

若き日の英雄達が、エネルギーを持て余しいた様子が想像できて、
むしろ好意的に解釈できるエピソードだと思います。