三国劇場 |
銅雀台完成記念 「弓術大会」 | |
作: 執金吾 様 |
魏の鄴城郊外のとある畑から、雀を象った胴像が見つかり、
魏の実力者曹操に献上されることになった。
これは素晴らしい。この鈍い輝きがなんとも言えぬ。 よしこの「銅雀」を元にした御殿を建てよう。その名も「銅雀台」じゃ。 |
はっはっはっー!! わが御殿といえる銅雀台が完成した。落成を祝して、披露会たる「弓術大会」をやるとしよう。 競技者は騎乗して用意した’的’にうまく矢を射るよう。皆の者、準備はいいか? |
はっ! |
(大声で)帝〜。 心の準備はよろしいですかな? |
(すす切れる声で)わっわかったから。 早くやってくりゃれ〜! |
よーし。それじゃ1番手! |
エイ! |
ヒィ〜!! |
見事だ于禁。よし次2番手! |
よし、孟徳の前、腕の見せ場だ。 そりゃ! |
わ、わ、わ、腕前はわかったから。もうやめてたもれ〜。 |
よし!夏候惇。 わが一族ながら天晴れだぞ。次! |
恐れながら丞相閣下。 |
なんだ? お主ら? |
今度は我ら二人同時で騎乗して的を射るようにしますが。 いかがでしょう? |
丞相閣下に許可してもらえましたら果たす所存! |
ふっふっふっ。 なかなか面白い趣向を思いつく。よし!許可する!! |
(なっ何を企んでいるのじゃ、きゃつらは・・・) とにかく!早くやってくりゃれ〜! |
言われなくてもやりますとも帝(笑)。 よし徐晃、張郤 行け! |
ハッ! |
のわ〜〜〜!!(絶叫) 丞相の配下の者の腕前しかとわかった。 もうこの辺で終わりにしてたもれ〜!!帝一生のお願い!! |
……まだ手前がおりますが。(笑) 手前こそが騎射の腕前 一番、との自信があるゆえ。ご披露もうそう。 |
よし! 最後はやはり夏候淵に締めてもらうとするか。 行けぃ!! |
ハッ! |
うーむ、困った……。 みんな指定どおり’的’に矢を射ているから、ワシが射るところが少なくなっているじゃないか。 騎射に自信があると言った手前、ワンランク上の腕前を披露せねば・・・(思考中) |
・・・どうしたのだ、夏候淵は? 騎乗中に考え込んで射ようとはせんが・・・? |
うう、勿体ぶられるのが一番辛いから早く終わらせてくれ〜!! |
よし、決めた!いざ行くぞーーー!そりゃ!! |
え?身体の向きが変だ。 ……なぜ、あやつは後ろ向きで……? まさか・・・ひぇぇぇぇ〜!やめれ〜!! |
おおーーー!! さすが妙才。見事な騎射であったぞ |
……がくっ!! (失神) |
……おや、帝。気を失われてしまうとは? 平和を愛する帝には、弓術大会は 少々 刺激が強すぎましたかな? |
……我が殿。 ……この場合、’的’が問題だったのです……。 |
…ふむ? 帝の頭の上に載せたリンゴを’的’にしたのは、問題であったか? |
……大問題かと……。(怒) |
まぁ、良いではないか。(笑) 帝自身に、身をもって理解いただいたまでのこと。 |
「 実は魏の将軍達って、蜀の五虎将軍より弱いのではないか?」 ……などと、懸念されていた帝には。 魏将達による武術の腕前を、じかに体験していただくのが一番 てっとり早い。(笑) |
なぁ、皆の者?(ニヤリ) |
まったくですな、我が殿♪ (ニヤリ) |
帝を’的’にした弓術大会で、 帝に傷つけることなく見事弓術の腕前の披露したこと、しかと見届けたぞ。 今後もその武勇をもってワシを支えてくれよ。 |
はっ! 御意!! |
実のところ、彼らの腕前をもっとも理解しているのは ’的’になられた帝かもしれんがな。(笑) |
( ……よーするに、自慢のコレクション……もとい、武将達に ケチをつけられたのが、許せなかったのね…… ) |
作者様コメント : | 参考: 銅雀台の「弓術大会」において、夏候淵は、先に四人が射たど真ん中に、 しかも体を反転させて命中したほどの弓術の名手です。 どうやら献帝は、曹操の具申で、大道芸人にある的当ての’的’にされたようです(笑) それを、銅雀台「弓術大会」に模してやってみました。 |
天猿 : | ……やれやれ。本当に悪決定な人達だなぁ……。 さすがに史実では、ここまでヒドイことはしてないのでしょーけど。 もっとも、何度も暗殺されかけてる曹操からすれば、 このくらいの仕返しはしたかったのかもしれませんけどね。(笑) |