三国劇場
ロバな人達
(孫呉 編)
作: 天猿




諸葛亮の兄、諸葛瑾。
字(あざな)は子瑜。


諸葛瑾


彼は面長の顔をしていたという。




……ある宴会の席にて、イタズラ好きの孫権は一計を案じ……



孫権 はっはっは♪

皆の者ぉ、こちらに注目せぇ〜い♪


呂蒙 陸遜 潘璋 ??

……おや?

諸葛瑾 諸葛格 ??

なぜ、こんなところに……?



孫権が従者に命じて、引き出してきたのは一頭の驢馬(ロバ)



孫権 はっはっはっは♪

うむ、これはちょいとした余興じゃ♪


呂蒙 陸遜 潘璋 ??

諸葛瑾 諸葛格 ???



孫権 ♪まぁ、見ておれ♪

……この驢馬の首に札を下げさせて……。

孫権 ……チョイチョイっと、このよーに書き込むと……。



『 諸葛子瑜 』



呂蒙 陸遜 潘璋 …………あ!?


諸葛瑾 ……うう……!?

諸葛格 …………!!



孫権 これこのとーり!!

諸・葛・瑾・の・出・っ・来・上・っ・が・り・ぃ・い・い・い〜〜〜〜♪



どっ!(場内 爆笑 )


潘璋 ぶわははははははは!!

に、似てるぅう〜〜〜♪ そ、そっくりやぁ〜〜〜♪(嬉)

呂蒙 くっ……くく……!!

そ、孫権様……悪ふざけが……過ぎっ…
……ぷぷっ、……ます…………くくくぅ……ッ!(笑)

陸遜 だ、駄目ですよぅ………わ、笑っちゃ……いけま……

……くぷぷっ…、…ん〜〜んん〜〜ッ!!(笑)



孫権 な? な!? だろぉ〜?

(ウケてる♪ ウケてる♪ わーいわーい)



諸葛瑾 は……はは……。(苦笑)

( やれやれ。……わが殿にも困ったものだ……)

孫権 怒るなよぉ〜〜諸葛瑾♪

あくまで余興じゃ♪
そちの徳を軽んじているわけではないのだぞ?



諸葛格 ……孫権サマ。(笑)

ここは父に代わり、
私もひとつ余興で応えてよろしいでしょうか?



孫権 おお、諸葛瑾の息子 諸葛格か♪

面白い、何をして見せてくれるのだ?



諸葛格 ……ふふ……。

孫権様の書いた文字の下に、
二文字だけ加えさせて頂きたいのですが?



孫権 ……ふむ?

よかろう、許すぞ♪ やってみせよ!(わくわく)

諸葛格 では、失礼して……。(笑)



『 諸葛子瑜 』 『之驢 』



孫権 …『 諸葛子瑜 之驢 』…?

…………あ…………!?

呂蒙 陸遜 潘璋 …………ああッ!

諸葛瑾 …………むむッ…………!!



諸葛格 ……ふふ。

これこのとーり、
『 諸葛瑾のロバ 』 という意味になりました♪



どっ!(場内 大爆笑 )



潘璋 うっひゃひゃひゃひゃぁあッ!!

こ、こいつは一本 取られましたなぁ、孫権サマ〜?(嬉)

呂蒙 ははははは!

うむ、たった二文字でロバの持ち主が変わってしまうとは!?(笑)

陸遜 実に見事な切り返しですね♪(笑)

さぁ、孫権サマ どういたしますか?



孫権 う……うう〜〜〜!?

ま、参った参った。
よし、褒美じゃ!
このロバは、諸葛瑾に与えよう!!(笑)

諸葛瑾 ……わ、わが殿……。

よろしいのですか?



孫権 よいよい♪(笑)

貴公には日頃から家臣達との仲を取り持ってもらうなど、
本当に世話になっておるのだからな。

孫権 思えば、私もちょっと悪フザケが過ぎたかもしれぬ……。

貴公にたいしての、お詫びの気持ちも込めて。
是非とも、ロバを贈らせてもらおうではないか!

諸葛瑾 ……わ、わが殿……。(感涙)



孫権 ふふ……。

それにしても、よい息子を持っているではないか?

諸葛瑾 ……は、はい。

私には、過ぎた息子で……。(照)




諸葛格 ……で?

孫権様。
僕への、ご褒美は?



孫権 へ??



諸葛格 もぉう、やだなぁ〜〜♪

諸葛格 アンタのクソつまらねー、出来の悪いジョークの
フォローをしてあげたのは誰さ?

僕でしょ?

諸葛格 ……そのお礼を、まさかロバ 一頭で済ませようなどと

ケチィことは考えていないよね?




孫権 う!?

諸葛瑾 うう!?

呂蒙 陸遜 潘璋 ……うううッ!?




孫権 ……そ、そーじゃの……。(笑)

な、何がいい? お菓子? 服? 名馬?



諸葛格 ……はぁん? (ジロリ)

年頃の男の子が、
そんなチャチなモノで納得いくわけがないじゃない?

孫権 ううううううッ!?



諸葛格 ……たとえばぁ♪

ちょっぴり、イケナイことまで個人指導してくれる
美人のオネーサマな家庭教師を、斡旋して欲しいとかぁ……♪

諸葛瑾 …………ッ!!

諸葛格 ……それともぉ♪

どんな理不尽な要求やセクハラにも黙って応えてくれる、
可愛くて従順なメイドさんをプレゼントして欲しいとかぁ……♪

呂蒙 陸遜 潘璋 ……………………ッ!!

諸葛格 ……あるいはぁ♪

ステキな未亡人 二喬や、可愛い出戻り娘の 孫尚香サマを、
愛にあふれる言葉で慰めさせて欲しい、とかぁ……♪





孫権 諸葛瑾 呂蒙 陸遜 潘璋 こ、このガキャァア〜〜〜ッ!!(怒)




諸葛格 そんなフシダラなことを考える大人にならないよう、

書物を読んで教養を深めたいんですよねぇ、僕は♪


孫権 諸葛瑾 呂蒙 陸遜 潘璋 ……う……!?



諸葛格 そーゆーわけで。

諸葛格 ……ご褒美は、是非とも書物でお願いしますね♪

孫権様♪ (クスクス)



孫権 は……はは……。

そ、それは
よい心がけじゃの……。(汗)

呂蒙 陸遜 潘璋 ( うわぁ〜〜、やなガキ……)





諸葛格 ……じゃ、帰るとしましょうか、父上。

あ、ロバを忘れないようにね。



諸葛瑾 ( 我が家をおおいに盛んにするのもこの子なら、

 我が家を根絶やしにするのもこの子であろう)



諸葛瑾が息子の将来を懸念したのは、このときのことだったとか。






天猿 : …目立ちたがり屋で自信過剰なあたり、
間違いなく父よりも伯父の血を濃く受けた少年だったようです。(笑)

なお、一説には驢馬の顔に、白粉(おしろい)で文字を
書いたともあります。……こっちの方が、オシャレかもね。