呉の孫策と周瑜を含め、

女性に人気のある武将とは大体 相場が決まっているようだ。

はははは！

♪　きゃーきゃー　♪ サック〜！　シューユン〜！！ （訳：　孫策サマ〜！　周瑜サマ〜！！）

…ふっ…！

♪　いや〜ん、いや〜ん ♪ リックー！　りょもりょもー！！ （訳：　陸遜サマ〜！　呂蒙サマ〜！！ ）

…ふむ…！

♪ステキステキ〜♪ シリュシリュ〜！　ばちょん〜！！ （訳：趙雲サマ〜！　馬超サマ〜！！）

むろん。

それを快く思わない男達も、いる

……けっ……！ 腐女子ども……、もとい、婦女子どもが！！（怒）

ミーハーな女達め！ 我々の渋さを理解できんとはな。 まったくもて、底が浅いわ！！

しかし。 このまま指をくわえて見ているほど、 俺達も お人好しではないぞ！！

あの若造共のファンを、我らが根こそぎ奪ってやる！

三国志の主役格の実力、思い知らせてくれるわ！！

メラメラメラッ！！ （燃）

用意はいいか、兄者。 昨日、徹夜で検討した作戦。 いよいよ、実行に移すときがきたのだ！

待てぃ、張飛。焦ってはならぬ。 作戦を実行する前に、 甄姫殿のアドバイスを整理してみるとしよう。

ズバリ！ 貴方がた二人に足りないのは…… ■　『危険な香り』　（ →　女は、そーゆーのが好き ） ■　『寂しそうな雰囲気』　（ →　支えてあげたくなる ） ■　『優しさ』　（ →　心惹かれる ） 女心をくすぐるような、『萌え』が必要なのです！！

上記の、三点のアピールポイントを満たす必要があるわけだ。

うむ！ 問題は、どの順番でアピールするか、だが……？

やはり、『寂しそうな雰囲気』が先であろう。 天下無双の豪傑である、我らにも意外な弱さがあることを 示すことで、女心をくすぐるとしよう。

しかるのちに、『優しさ』だな。 ギャル共のハートを、おおいにときめかせてやる！

最後を、『危険な香り』で締めくくる！ これをもって、駄目押しとするのだ！！

…ふふふ。 （ まさに、水も漏らさぬ完璧な作戦よ♪ ）

……ふはははははは……。 （ 我々の勝利は、もはや決まったようなものだな♪ ）

よし、いくぞ！！ 作戦開始！！

関羽・張飛による

『 女性ファン獲得大作戦 』

発動

ぐおおおおおおおおおお！！（苦）

……ひぃ！？

……ぐぅうう……うおおお…ッ！！ ぐ…苦じいぃ〜〜…！！ （涙）

！？？ どうした、張飛？　急に苦しみだすとは……ッ？ な、何が起きたのだぁ！？

（ふふふ。見ておる、見ておる♪ ）

（いいぞ、張飛！　迫真の演技だ！　よし、このまま続けるのだ♪ ）

か、肝臓が痛ぇえ！！（涙）

……な……！？ 馬鹿者、 日頃から深酒を重ねているからだ！

あ、兄じゃ……お……俺はもう駄目だ……。 ……俺の命、……ここで尽きるかもしれねぇ……。（泣）

……うう……。（涙） 週に一度は、休肝日を置くようにと、 あれほど言っていたのに……！

……へへ……。 馬鹿な、男と笑ってくれぃ……。（哀）

……！？

（よっしゃぁ！　これで、『寂しそうな雰囲気』はバッチリだ♪ ）

……うぐ！？

どーした、張飛！？

えろえろえろえろえろ！！（吐）

うわああああああ！？ 急に吐くヤツがいるか！？ 私の自慢のヒゲが汚れてしまったではないか！！（怒）

うう……肝臓の機能が低下していて……。 す、すまねぇ……。雲長アニキの美しいヒゲを汚してしまうとは…。 ……死んで詫びるしかねぇぜ……。（涙）

ぐぅうううッ。 確かに、それがしの美しいヒゲを汚すなど、万死に値する！ 今、この場で八つ裂きにしてやりたい気分だッ！！

おぅ……。 ……か、覚悟はできてるぜ。

しかし！　 張飛、貴様とは、かつて桃園の誓いを交わした間柄。 ……それがしには、貴様は斬れぬ……。（笑）

うう……。あ、あにじゃぁ〜〜〜！（泣） なんて……なんて優しいんだッ？

……………ッ！

（おっけぇ！　これで、『優しさ』も完璧だ♪ 　このまま、一気にたたみかけてやる！！ ）

弱音など貴様らしくないぞ、張飛！！ 桃園の誓いを忘れたのか！？

……そ、それは……。

我ら二人。生まれた日は違えども、死ぬ日は同じなのだ！ 貴様が死ねば、それがしも生きてはおれぬ！！

……そ、そうだった……。 俺達は、友を超えた関係……！！

……ふ……。 身も心も。我らはひとつなのだぁあああ！！

ギュ〜〜〜〜〜ッ！！　（抱擁）

ア、アニキィ〜〜〜〜ッ！？ く、苦しいよぅ♪　ヒゲがくすぐったいよぅ♪

ち、張飛ぃ〜〜〜ッ！ 可愛いのぉ〜〜〜ッ♪　ういヤツよのぉお♪

………………………ッ！？

ふははははははははははははぁああ！！ （ どーだ！ 俺達の『危険な香り』に萌えるがいいッ♪ ）

……へ、変態……ッ！！

へ？

い、いやらしいわッ！！（怒）

けだもの！！

恥を知りなさい！！

……あ。 あれ？

お二人が、そんな関係にあったなんてッ！？ ……劉備サマに言いつけてやるから！！

……ちょ、ちょっと……。 （……ば……馬鹿な……？）

汚らわしいッ！ 近寄らないでちょうだい！！

う、うわ……！？ （ ガーン！　こ、こんなブスにまで……！？）

最低ねッ！！

信じらんないわよぅッ！！

……な、なぜ！？ なんでアイツらのよーに、 ときめいてくれないのだぁ？（泣）

ええい、いっしょにするな！

……まったく、見るに耐えぬ。

見損ないましたよ、関羽殿・張飛殿ッ！！（怒）

……くっ！！　 き、貴様らぁああ〜〜〜〜〜！（泣）

結局、関羽と張飛の作戦は大失敗。


女性ファンの心を掴むどころか、

男性諸君からの支持まで失ってしまう始末。



そう。……今も昔も、女の子とは

美形には、限りなく甘く。

オヤジには、果てしなく冷たい生き物だったりするのだ。




甄姫による二人へのアドバイスは、

根本部分が抜けていたと言えよう。




『女性へのアピールの仕方は、自分に合った方法を選ぶこと』

世の男性諸君へ、教訓を残しつつ。



青春ナンパ物語、これにて完結！！







ちなみに。

……そのころの、甄姫は……。

おーほほほほほほほほほッ♪ ズバリ！ 貴方がた二人に足りないのは……『危険な香り』 ですわ！！

…………！？ き、『危険な香り』……？？

どーやら、確信犯だったらしい