三国劇場 |
嘘のような、ホントの話 (呉伝:君臣激闘編) |
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作: 天猿 |
【 これまでのあらすじ 】
皇帝に即位し、得意絶頂な孫権は、
重臣 張昭の意見を無視して北方の公孫淵に使者を派遣。
そんな孫権に腹を立て、館にこもってしまった張昭に逆切れし、
彼の家の門を土で固める始末。
さてさて、張昭の反撃やいかに?
はーっはっはっはははははははは!! いやぁ、愉快愉快。 ジジイめ、今頃 青い顔してるんだろうなぁ♪ |
……そ、それが。 報告によると、張昭殿は門のところで必死に土を運んでいるそうです。 |
そーだろ、そーだろ。 土をどかさないことには、家から出ることもできないからなぁ。 まぁ、素直に出仕して詫びを入れるなら、許してやらんこともない。(笑) |
……ち、違います。 門の外の土は、そのまま。 張昭殿が、運んでいる土は門の内側からでして……。 |
……へ……? |
者共〜〜!! 積めぇ、どんどん土を積むのじゃぁああああ!! |
……もう、お爺様ったら。張り切っちゃって♪ |
ふふふふ。 いかんのぉ、どうも年甲斐もなく熱くなっておるようじゃ♪ |
……でも、どういうこと? 門の内側からも、土を積み上げるなんて? |
……ふぉふぉっふぉ♪ 門の内側から、こちらが土を積んで固めたのは、 ワシの意思表示なのじゃよ。 |
現在 我が家の門は、 内側と外側、 二つの土の山によってサンドイッチ状態にある。 |
……これ、すなわち。 『家の外に出るな』という嫌がらせで、門の外に積まれた土の山に対し。 こちらは、門の内側から土を盛り、『家の外に出る気はない』と皮肉で返したことになるのぢゃ♪ |
な……なるほど。さすがはお爺様!! なかなかに、洒落の効いた対応だわ♪ |
あーはっはっはっはっはっは。 |
……そ、孫権様……? いったい、張昭殿は何を考えているのでしょう? |
……ふ……ふふ。 うむ、ヤツが何を考えて、このような愚挙に出たか。 俺には、手に取るようにわかるわい……。 |
やーいやーい♪ 若造、こっちも出仕する気なんか ないんじゃぞぅ!! 門の内側も土で固めてやったのはな、家から出る気がないってこった!! うひゃひゃひゃひゃひゃ!! |
……よかろう……。断固、戦ってやるぞ……。 |
……そ……それが、孫権様……。 どーやら、先ほど入ってきた報告によると、 そうも言ってられない状況になりつつありまして……。 |
……ん? なんだ、回りくどいやつだな。その報告ってのは? |
孫権様が、公孫淵に送った使者が斬られました。 |
な、な、な、なぬぅうううううう〜〜〜〜!? |
どーやら、この件に関しては張昭殿が正しかったようですね……。 |
なんでなんで? 馬を要求したのが、悪かったのかぁ? |
いえ、そういう問題でもないかと。 単に、公孫淵が方針を変更しただけだと思います。 魏に臣従するのはイヤだけど、呉に臣従するのはもっとイヤってことでしょうね……。 |
なんだとぉ!? |
公孫淵から見れば、孫権様は 『南方で勝手に皇帝を名乗ってる独立勢力』。 対等に付き合う相手ならともかく、膝を屈する相手ではない、と考えたのでしょう。 |
な、なんてムカつくヤツだ……!! 急に外交方針を変えるとはっ!? まったく恥を知らないにもほどがあるっ!! |
( ……アンタも、そーでしょーが ) とにかく、今は張昭殿に謝るしかないですね。 素直に、自分の過ちを認めるのも、君主たるものには大事な美徳ですから。 |
うううう……。 あのジジイに頭を下げることになるとは……。 すっげームカつく……!! |
……孫権様。 いい加減にしないと、私も怒りますよ? |
……う……。陸遜まで……。 わ、わかったよぅ。ジジイに謝ればいいんだろ、謝れば!! |
天猿 : | 張昭が門の内側から土を盛ったり、 公孫淵が呉の使者を斬ったのは本当です。念のため。 |