三国劇場 |
嘘のような、ホントの話 (呉伝:君臣暗闘編) |
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作: 天猿 |
呉暦 黄竜三年(西暦232年)。
皇帝に即位し、建業に首都を移した孫権は得意絶頂にあった。
そんな孫権のもとに、北方の公孫淵より使者が送られてきて……。
なになに? 魏よりも北に位置する遼東の群雄 公孫淵から使者とな。 よいよい♪ どうやら “朕” の威信は、かの地まで届いておるようじゃ。 |
(ふふふ……。 朕…ちん…。よい響きじゃ♪ 何度 使っても飽きないなぁ♪) |
……で? その公孫淵は、いったい何を言ってきたのですかの? |
ちっ。 また張昭のジジイか。毎度 口うるさいヤツだ。 ( もう八十近いジジイのくせして、無駄に元気なんだよな。コイツ ) |
憎まれ口は、結構。 質問に答えてくだされ。 |
やれやれ。仕方がない、説明してやろう♪ 公孫淵とは魏に帰順している、北方の半独立勢力なのだが。 魏を見限って、我々と手を結ぼうと考えているらしい。 たぶん魏から完全に独立するつもりなのだろう。 そのために魏の敵である我々と仲良くしたい、そう考えているのではないか? |
……ふむ。 なるほど、典型的な『近攻遠交』ですな。 |
……難しい言葉を使わんでも説明できるだろ、そのくらい。 (たっく、これだからインテリはよぉ〜〜) |
……ははは。いくらなんでも理解できますじゃろ、そのくらい。 (たっく、これだからヤンキーはのぉ〜〜) |
ちっ。とにかく、俺は……もとい、朕は公孫淵の気持ちに応えてやるつもりじゃ。 なかなか健気な話ではないか、この朕の威信にすがりたいというのだからな。 朕の名のもとに、ヤツを『燕王』に封じてやるとしよう!! |
ははは。 ご冗談を。公孫淵など、信用できますまい。 ヤツからの使者は、追い返してしまうべきですじゃ!! |
……………………。 |
……ジジイ。 俺様……もとい、朕様が お考えあそばす事に逆らうつもりか? |
……若造。 皇帝を名乗ったからって、調子にのるんじゃないわ。 |
…………………………。 |
……失礼。 とにかく、私はあくまで頑強に反対する所存ですじゃ。 |
……むむ。 そーか、わかった。仕方があるまい。 張昭の言葉なら無視はできんな。 貴公の意見は、我が胸に留めておく。 |
おお♪ わかってくださいましたか!? |
うむ!! |
ところで孫権様。 あの後 公孫淵の使者には、どう対応したので? |
……ああ、その件か? うむ、バッチリ 同盟のための使者を、こっちからも派遣したぞ♪ |
へ? |
公孫淵には、「同盟の証として馬をよこせ」って伝えたんだけどね♪ ……楽しみだなぁ、北方の馬って名馬が多いじゃん? 俺っちは、もとい、朕は狩が大好きだしぃ。 ナイスでオニューなマシンをゲットしてバリバリってカンジ? |
……おい、このチンピラ。 結局、ワシの意見を、無視したってコトですかの? |
うんにゃ。(笑) 無視したんじゃないよん。 覚えていなかっただけさァ♪ |
………………ッ!! |
♪ 馬欲しい、馬欲しい、馬欲しい ♪ ♪ 馬 ・ 欲 ・ し ・ い ♪ |
…………………………ッ!! |
♪ 狩大好き、狩大好き、狩大好き♪ ♪ 狩 ・ 大 ・ 好 ・ き ・ ぃ ♪ |
……ふ……ふふ……ふふふふ。 な、なるほど。そーですか、そーですか、そーですか。 |
なんだよぉ、怒ったのかよぉ♪ |
……いえいえ。(笑) しかし、急に疲れてきましたよ、ワシは。 家に帰って休んでも、よろしいか? |
おぅ。 帰れ、帰れ。 |
……はははははははは。 ゆぅ〜〜くり、休ませてもらいますかのぉ……♪ |
天猿 : | 孫権が張昭の意見を無視して、 公孫淵に馬を要求したところはホントですよ。念のため。 |