三国劇場 |
空箱の計 |
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作: とます 様 |
荀ケの死は、自害であったという。
殿から空の箱が贈られてきた。これは、もはや私は不要ということか。 無念ではあるが、事ここに至っては免れる方法はあるまい。 ……さらば。(涙) |
なるほど、自らは手を汚さずに邪魔な臣下を処断するとは。 ……さすがは曹操、見事な策です。 私も、あの男に使ってみるとしましょう。 |
軍師殿から贈り物だと? 珍しいこともあるものよ。 |
ふむ? |
なんだ、中は空ではないか。 どういうことだ? |
軍師殿のことだ、何か裏があるな。 対応を間違えて処罰されてはかなわぬ。 ここは誰かに知恵を借りるとしよう。 |
私に用とは? |
荊州きっての知者である貴殿に尋ねたい。 |
実は軍師殿から贈り物を頂戴したのだが、これが空箱でな。 |
師殿が中身を入れ忘れるはずがない。 これは何か隠された意味があるのではないだろうか? |
ふむふむ……分かりました。 |
何、もう分かったと!? 教えてくれ。 |
はい。 『論語』に「君子ハ器ナラズ」との言葉があるのを御存知ですか。 |
わからん。どういう意味だ? |
「君子は器のように用途の限られたものではいけない」という意味です。 つまり。 軍師殿は、貴殿が一介の武辺者ではなく 国を背負って立つ重鎮となるよう願っておられる。 |
この器を贈ったのには、 そういう願いが込められているのですよ。 |
そ、そうだったのか! なるほど、「君子ハ器ナラズ」か。 良い言葉だ。私も誰かに向かって言ってみたいな。 |
よし、誰かに箱を贈ってみよう! |
とます様 コメント : | こんな馬良は黒眉だ!(笑) それはともかく、「君子ハ器ナラズ」というのは本当に『論語』にあります。 |
天猿 : | やべぇ、一瞬 ホントにあった話かと、信じかけちゃったっすよ。 孔明が魏延に空箱を贈ったところから、嘘なのにね。(笑) 220年前後は、結構 多くの蜀の将が死んでるけど、 ほんとにこんな理由だったら、笑えないよなぁ。ははは。 |