三国劇場 |
安楽公と呼ばないで | |
作: 天猿 |
第一次北伐。街亭の戦い。あまりに大きな犠牲を払った敗戦。
泣いて馬謖を斬った孔明。
大きな期待をかけていた俊才を
自ら手にかけただけに、その失意もまた大きかった……。
……馬謖よ。(涙) そなたには、蜀の明日を任すはずだったのだ…。 惜しいかな馬謖。悲しいかな馬謖。 |
ひそひそ。 (大変な落ち込み様だ。…無理もないが。 慰められるのは、一人しかいないな) |
こくり。 (うむ。もうじき、来るはずだ) |
あ、あのうー。皆様方、なにか御用でしょうか? |
おっせーな。 ほれ、我等の軍師様が傷心の様子だ。 慰めてこいや。 |
俺達が戦っているのは、先主の遺志のためであって、 おめーのためじゃねぇ。 ……そこんとこ、わかっているよな? |
は、はい。 |
わかってんなら、さっさと始めろや。 |
……こ、孔明様。元気だして…。 |
…………ッ!? こ、このクソガキャアッ。 |
ひぃ!! |
まさか慰めてるつもりか? ああん!? 手前ごときウスラ馬鹿息子に同情されても ムカつくだけじゃ、ボケッ。消えうせろッ。 |
……うう! |
(…ほっ。とりあえず、孔明殿に元気は出たようだ) |
お飾りがつまんねー気を効かせて口を開くんじゃないッ。 先主の劣性遺伝子のみ受け継いだゴミ! 馬謖の髪の毛一本の価値もない、クズ!! |
…………うううう!! |
(…ほっ。すっかり元気な、いつもの孔明殿だ) |
しくしくしく。(泣) |
やーい、やーい!(笑) |
いやぁ、ここは楽しい。 蜀のことなど、思い出しもしません。ははは…はははははは。 |
天猿 : | 以前、呉ん太さんのサイトにて、別のペンネームで投稿した作品。 昔の作品を引っ張り出すのも気がひけるのですが、 最近 どうも切れのいいネタが出てこないので。苦肉の策、ってヤツです。(笑) |