【　これまでのあらすじ　】

三国時代 最強の武を誇った男、呂布。

向かうところ敵無しの勢いの彼ではあったが。

『友達がいないコト』

……これが彼の悩みであった。


ある日、意を決した呂布は、軍師 陳宮に相談を持ちかけて……

……と、いうわけで呂布殿。 この陳宮、いろいろ策を練りましたが……。

うむ！

呂布殿が友達を作るにあたっては、 むしろ小細工的な手段は、得策ではないという結論に至りました。

ふむ？

『 正直は最善の策 』、という言葉がありますが。 呂布殿の場合、これがあてはまるかと。 とにかく、真心を伝えないことには始まりませんからね。

つまり、単刀直入に 『 友達になってくれ 』と言って回れというのか？

はい。しかし、それだけでは不足であるのも事実。 今回の作戦のコンセプトは、『真心を君に』です。 ただ、呂布殿の要望を主張するだけでは、誰も聞いてくれますまい。

……だろうな。

よって、『友達になってくれ』と言った後で、 こう付け加えてください。

『自分の持っているもので、 　欲しいものがあるなら何でも進呈する』　 ……と。

なるほど。 プレゼントで気を引くのだな♪

ははは。 ……ありていに言えば まぁ、そういうところですな。(苦笑）

物をもらって気分を悪くする人は、 そういませんからね。 好意に対しては、好意で応えようとするものです。

わかった！ 早速 実行しよう！ では、行ってくるぞ！！

ところで。 どれくらいで帰ってくるおつもりですか？

うむ。 各地を回るため、三日ほど城を空けるが。 それが、どーかしたか？

……いえ、別に。道中、お気をつけて。 （ なんだ、たった三日の骨休みか。 　いっそ帰ってこなくてもいいのに……）

初日

……と、いうわけで趙雲。 俺の友達になって欲しい。

冗談はやめてください。

……う。いきなりそう返すか。しかしあきらめんぞ。 みんなの人気者である貴公を友人にできれば、 俺も人気者になれるのだからな♪

な、なんて自分勝手な……。

まぁ、そう言うな。俺は心を入れ替えたのだ。（笑） ……その証拠に。 『俺の持っている物で、欲しい物があったら何でもやろう！！』

な、なんと！ 呂布殿の口から、そんな言葉が出るとは！？ し、信じられない……。

男に二言はない。

……で、では……。 『方天画戟』を所望いたす！！

…………。 ほ、『方天画戟』をか？

はい。かねてから私は自分のオリジナル武器が欲しかったのです。 関羽殿の青龍堰月刀、張飛殿の蛇矛、などに見劣りしない武器を。 『方天画戟』なら、文句ありませんッ！！

二日目

……フッ……。 強敵と書いて『とも』と読むとは、まさにこのこと。 関羽よ、俺の友達になって欲しい。

帰れ。

……う。いきなりそう返すか。しかしあきらめんぞ。 みんなから尊敬されている貴様を友人にできれば、 俺も尊敬されるに違いないのだからな♪

き、貴様というヤツは……。

まぁ、そう言うな。俺は心を入れ替えたのだ。（笑） ……その証拠に。 『俺の持っている物で、欲しい物があったら何でもやろう！！』

な、なんと！ 呂布の口から、そんな言葉が出るとは！？ それがしは悪い夢を見ているのか……。

男に二言はない。

……で、では……。 『赤兎馬』をくれぃ！！

…………。 せ、『赤兎馬』をか？

うむ。かねてから、それがしは貴様の赤兎馬が羨ましかったのだ。 体の大きい それがしは、普通の馬だとすぐに乗り潰してしまうのでな。 『赤兎馬』なら、まったく問題ない！！

三日目

ははは。 昨日の敵は今日の友と言うだろう？ 曹操よ、俺の友達になって欲しい。

誰か、こいつを叩き出せ。

……う。いきなりそう返すか。しかしあきらめんぞ。 みんなから恐れられるオマエを友人にできれば 俺も、好き放題に振る舞えるというものだ♪

おまえがこれ以上、 好き放題に振る舞ってどーする？（怒）

まぁ、そう言うな。俺は心を入れ替えたのだ。（笑） ……その証拠に。 『俺の持っている物で、欲しい物があったら何でもやろう！！』

な、なんと！ 呂布の口から、そんな言葉が出るとは！？ りょ、呂布……。貴様、気でも狂ったのか……。

男に二言はない。

……で、では……。 『貂蝉』をよこせ！！

…………。 ちょ、『貂蝉』をか？

うむ！　今さら言うまでもないが、俺は人様の女に目がないのだ！！ 大喬、小喬、甄姫と多くの人妻に色目を使ってきたが、 最近はなかなかうまくいかぬ。しかし、 『貂蝉』を手に入れられれば、溜飲も下がるというものだ！！

夕方

ただいまー。

おかえりなさいませ、呂布殿。 友達は、できましたか？

いいや。 ……なかなか、うまくはいかないものだな……。

……そうですか。 まぁ、お気を落とされませぬよう。

うむ。

……ところで。

その、体中に浴びている返り血は？（汗）

ああ、コレか？ なぁに、欲の皮が突っ張った奴らを三人ほど、 ブチのめしてきただけのことよ♪

ははははははは。（笑）

……ははははは。（笑） （ そんなんだから、友達できねぇんだよ。オマエは！ ）

まぁ、いいさ。 俺の友達は、陳宮一人で充分だからな♪

……はぁッ！？（泣） （ うそーんッ？ ）

とかなんとかで。

とりあえず、一人の友達はゲットした呂布。

な〜に、真の友を一人でも得ることができたなら、
お釣りがくるのが人生ってもんよ。


二人の輝かしい未来を願いつつ。

青春友情物語、これにて完結！

天猿 ： 史実ではギクシャクした関係の二人だったらしいですけど。
　　　　　　　　　　　　　　　　蒼天航路 での二人は、素敵な関係ですよね。主従を越えた友情を感じます。