三国時代 最強の武を誇った男、呂布。
向かうところ敵無しの勢いであった彼ではあったが。
実は、心ひそかに悩むコトがあった。
……ある日、意を決した呂布は、軍師 陳宮に相談を持ちかける……
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呂布殿、この陳宮に相談したいことがあるとか? |
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うむ。
陳宮、おまえを知恵者と見込んで、
尋ねたいことがある。 |
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いかようなことでしょうか? |
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……実は、前々から思っていたことなのだが……。 |
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ふむ。 |
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俺って、人と比べて友達が少ない気がするのだが? |
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……いいえ、呂布殿。
それは、違うと思います。 |
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そ、そうか?
単なる、俺の気のせいかな? |
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はい。
呂布殿には友達が少ないのではなくて、
友達がいないのです。
……ただの、一人も。 |
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………………。 |
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どうされました、呂布殿? |
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……もう少し、言い方ってモノがないか?
た、確かに俺は
人から好かれるタイプではないのかもしれんが……。 |
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いいえ、呂布殿。
それも、違うと思います。 |
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そ、そうか?
人から好かれないってタイプでもないのかな? |
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はい。
呂布殿は人から好かれないのではなくて、
人から嫌われているのです。 |
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………………! |
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三国一の鼻つまみ者、
それがアナタ。 |
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……そ、そこまでハッキリ言われると、
さすがに傷つくのだが……。 |
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ハッキリ言うも、言わないも。
全ては否定しようのない事実ですから。 |
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……わ、わかった。もぉ、いい。
とにかく、俺が嫌われていることは、この際 認めよう。
おまえに聞きたい事、相談したい事、というのはここからなのだ。 |
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ふむふむ。 |
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正直、友達がいないというのは寂しい。 |
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そうでしょうな。 |
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俺と違って、劉備などは多くの人間に慕われている。
そんな劉備の人生は、さぞ充実したものだと思われる。 |
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まったくその通りです。 |
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よって陳宮。 |
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?? |
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俺に友達を作る方法を教えて欲しい。 |
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……げぇッ……!? |
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…………。 |
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……な、なんたる無理難題を……。 |
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………………。 |
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……い、いいですか? 呂布殿?
あなたに友達を作るという事は、
あなたに天下を取らせるよりも至難の技なのですぞ? |
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…………。
凄く失礼なコトを言ってないか、おまえ? |
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まったくの事実を申し上げたまで、です。 |
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そ、そんなに嫌われているのか?
俺って……。 |
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だって呂布殿。
あなたときたら、今まで丁原やら董卓やら。
自分に目をかけてくれた人を、平気で裏切って殺しているんですよ。
それも、赤兎馬やら貂蝉やらといった餌につられて。 |
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……うぅッ……。 |
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……この際、はっきり言わせてもらえば。
呂布殿のように、物欲まるだしで、
考えなしにその場の勢いで人を裏切る人間。 |
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そーゆーのが、一番 人から信頼されないのです。軽蔑されるのです。
いつ裏切られるかわからない以上、とても近寄りたいとは思えませんし。 |
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友人とは、いわば相互の信頼関係。
尊敬しあう間柄。
呂布殿は、いわばその対極にいる存在なのですよ? |
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……う、うう……ッ! |
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残りの生涯を、孤独と仲良くして過ごす惨めな人生。
それこそが、呂布殿に与えられた天罰なのです!! |
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…… いや、しかし ……!
友達を作るためなら、俺は何でもするつもりだぞ!? |
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……ほぅ?
何でも? |
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もちろんだ。
この際、俺は真人間に戻るつもりだとも!! |
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……ぶッ!
ぶわはははははははッ。(笑) |
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りょ、呂布殿が真人間にぃ〜〜!?
無理無理!
絶対に、ありえませんってば♪ |
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ザリガニが人間に進化するよりも
無理な話ですぞ、そりゃ!(笑) |
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……陳宮……。
今のは、どーゆー意味だ……? |
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……あ……。 |
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ちょっと、調子に乗ってねぇか?
……あぁん?(怒) |
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うう。
そ、そのぉ……。
つ、つまり、ですね。 |
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……このくらいで腹を立てるようでは、
友達をつくるのは難しいということなのです。 |
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むぅ? |
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りょ、呂布殿が今から友達を作ろうとするなら。
最初は、かなり冷たい態度や侮辱的な言葉に
さらされるでしょうから……。 |
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……なるほど。俺を試したというワケだな。(笑)
さすがは陳宮だ。
よし、この調子で色々と指南してくれ♪ |
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…………はははは。
お任せあれ。
( やべぇ、やべぇ ) |
とかなんとかで。
友達作りに挑戦しようとする呂布と、それを助けようとする陳宮。
二人はうまくいくのだろうか?
青春友情物語、後編に続く!!
天猿 : |
史実の陳宮も、けっこうハッキリ 物を言う人で呂布に嫌われていたとか。
……まぁ、ここまで言っていたら殺されていたでしょうけどね。 |