三国劇場 |
GO! GO! 憎まれっ子 (最終話) | |
作: 天猿 |
『 これまで のあらすじ 』
最悪の不良少年だった曹操の、ある日の遊びは、
『 金にあかせて、貧しい物売りをからかうこと』。
最初に、怪しげな薬売りから秘薬をせしめ、
お次は、ムシロ売りの少年に目をつけた曹操。
さてさて、ムシロ売りの少年の運命やいかに?
…ふふふ…。 ( さて。このムシロ売り、どーしてくれよーか? ) |
………ふふふふ。 ( そうだ! あの怪しげな薬売りから奪い取った薬の 実験台にしてやろう ) |
……………………ふふふふ。 ( 万が一、なにか不都合なコトが起きてしまっても。 相手は卑しくて哀れな貧民だしな。 どうなっても知ったこっちゃないや♪ ) |
……ぼ、坊ちゃま。 ど、どうかされましたか? |
……別に。(笑) ……いや、先ほどは、すまなかったな。 まったくもって、立派な孝行息子なオマエに対して、ひどい事を言った。 |
……い、いえ。 そんな……。 |
……いいだろう。オマエの売っている品を、 全部 俺が買ってやろう。 |
……え、えええええ!? ほ、本当ですかッ!?(嬉) ありがとうございます、ありがとうございますッ! |
……ただし。 この薬を飲んでもらおう。 |
……え? ええ?? な、なんですか、この薬は? 僕の体は、どこも悪くないですよぅ……。 |
……いや、病気を治す薬ではなくて。 『 一気に体を成長させる妙薬 』、だそうだ。 |
……そ、そんな薬、飲めと言われても……。 |
…まぁ、背を伸ばしたい俺が手に入れた薬なんだけど。 さすがに、いきなり飲むのは俺だって怖いからね。(笑) ……そこで、オマエを実験台にしようと思うのだ。 |
……な……。 ( なんてヒドイ人だッ! そんなコトをハッキリ 口にするなんて。 よ、……世の中には、こんな人もいたんだ……) |
……まぁ、モノは考えようだぜ、ムシロ売りの孝行息子よ。 オマエだって、背が伸びたら嬉しいだろう? 立派な武将になって、母親に今以上の孝行ができるかもしれんぞ? |
……う……うう……。 で、でも……。 |
……ええい。煮え切らないヤツだな。 こうなったら、力ずくで飲ませるまでよッ! 食らえッ! |
へ? |
ぐ、ぐはッ!? |
……よし。 ここで、口の中に流し込む、と。 |
ひ、ひいいいいい!(泣) (……ひ、人を信じた僕が馬鹿だったのか? ) |
……よしよし。しっかり、飲みこんだようだ。 さて、効果は現れるのだろうか? |
いやぁぁああああああッ!? 腕の骨が、伸びるゥううう〜〜〜ッ。 |
……おおッ! 凄い!! 本当に効果があったとは!? |
うきゃぁああああああッ!? 耳がッ、耳が伸びていくぅうう〜〜〜? |
……げげッ! おかしい!! これは、予想外の展開だッ! |
…………はぁ、……はぁ……。 よ、ようやく止まった……。 |
………………うむ。 ……ここで、止まってしまったか。……と、なると。 非常に、残念だが。この薬は、偽物だったようだ……。 |
……へ? |
『 一気に体を成長させる妙薬 』 とは聞いていたが、結局 成長したのは腕と耳のみ、だからな。 |
………そ、そりゃぁ……。 …腕と…耳だけでは…。 |
うむ。 …つくづく、俺が試さなくて良かったよ。(笑) |
………なな! ど、どーゆーことですか……? |
ははは。 ……ムシロ売り、鏡で自分の姿を見てみろ。見るも無惨だぞ。(笑) |
……な………なんじゃ、こりゃぁああああ〜〜〜ッ!!?? |
ははははははッ♪ な? スゴイだろ? まるで宇宙人だよな?(笑) |
……うわぁぁあああああああんッ!(泣) |
……考えてみれば。薬売りのオヤジも、 『 一気に体を成長させる妙薬 』 とは言っていたけど。 『背を伸ばす妙薬』 ……とは、いっていなかったからな。 どうやら、アイツに一杯 食わされたみたいだ。 |
ひっく、ひっく……。 こんな姿、母にどう言い訳すれば……。(涙) |
知らん。 じゃ、後は頑張れ。……自殺すんなよ? |
そ……そんな……ッ!? せめて、ムシロとワラジを全部買ってくださるという 約束だけは守ってくださいよぅ……ッ! |
ははは。 ……何のコトやら?? |
……ま、まさか……。 ここまでしておいて……。人をこんな姿にしておいて……。 |
うむ。……今日も、愉快な一日であった。 |
……………………き、貴ッ様〜〜!! |
はっはっはっはッ!! ムシロ売りの少年、いつかまた会おう! その時には、歯ごたえのある男になっていてくれたまえ♪ |
お、おのれぇえええええッ!! 赤マントの少年、俺は生涯をかけて貴様を許さない! 必ず……必ず、いつの日か貴様の前に立ちふさがってやるッ! |
天猿: 劉備は耳と手が長かったそうですが。
本人は、たぶん 悩んでいたのでしょうね。