三国劇場 |
GO! GO! 憎まれっ子 (第3話) | |
作: 天猿 |
『 これまで のあらすじ 』
最悪の不良少年だった曹操の、ある日の遊びは、
『 金にあかせて、貧しい物売りをからかうこと』。
医者として有名でなかった頃 薬売りをしていた華佗から
秘薬をせしめて得意絶頂。
しかし、その薬、果たして効果はあるのだろうか?
……いやぁ、いい物 手に入れたぜ。 |
『 一気に体を成長させる妙薬 』 とか、言っていたよな。あのジジイ。 |
……つまり。コレを飲むと、チビの悩みからも 解放されるというわけだ。 ふふふふ。 |
頭もいいし、ケンカも強い。家はとってもお金持ち。 無敵少年たる俺様も、この背の低さだけには 苦しめられてきたからなぁ。 |
背さえ、伸びれば。 この俺ほど完璧な人間もいなくなるであろう。はっはっは……。 |
…………しかし。 |
…………よく、考えたら やっぱ怪しいよな。 毒でも入っているかもしれねーし。 |
…………うーん、どーすっかなー。 不安だけど、捨てるのは惜しいんだよなー。 |
本物かどーかを、確かめる方法ってないものかなー。 |
……ムシロはいりませんか〜。 丈夫で軽い、ワラジもありますよぅ〜〜。 |
(おや、あんなところに俺と年の変わらなそうな ムシロ売りのガキがいる) |
……どれも使いやすくて、丈夫ですよぅ〜 安くしときますから、見てくださぁあい〜。 |
( 能天気な声をあげやがって。ムカつく奴だ。 世の中には、俺のように 悩み多き少年もいるのに) |
……おお。 そこのお金持ちそうなお坊ちゃま、是非 買ってくださいな。 |
……む。 |
お安くしておきますよ。いかがですか? |
ええい、このみすぼらしいガキめ。 俺は今、忙しいのだ。悩んでいるところなのだ。 話しかけるなッ!! |
……こ、これは失礼しました。 し、しかしそう言わずに、見るだけでも 見てくれませんか? 家が貧しく、少しでも家計の助けになりたいのです。 |
……けっ。 親孝行なこったな。 |
はい。母親一人、子一人の家庭ですので。 |
あ、そ。 だが、金持ちの御曹司たる俺が、 貧乏くさいムシロやワラジを買ってやる筋合いはないのだ。 |
そう言わずに。 ここにあるムシロやワラジは、どれも僕が自分で編んだ 自信の品ばかりです。使い心地は悪くないと思いますよ。 |
……しつこいぞ。貧民。 |
…………うう。ごめんなさい。(泣) やっぱり、無理に買っていただいては迷惑ですよね……。 |
…………。 ( ほぅ。ずいぶんと素直で、いいヤツだなぁ…。 おまけに孝行息子で働き者、か) |
………………ふ。 ( ……ムカつくな。きっと、こーゆー純粋まっすぐ君が、 将来 漢王室の復興とか、くだらない理想を掲げたりするんだろう ) |
……………………ふふふふ。 ( よし、決めた。こいつも、いじめてやる。 さぁ〜て、どう料理してくれようか? ) |