三国劇場
GO! GO! 憎まれっ子 (第2話)
作: 天猿



『 前編のあらすじ 』

魏の曹操とくれば、最悪の人格の代名詞。

そんな曹操の少年時代は、
もちろんド腐れな不良少年だったことは言うまでもない。

そんな少年 曹操の、ある日の遊びは、

『 金にあかせて、貧しい物売りをからかうこと』

医者として有名でなかった頃 薬売りをしていた華佗は、
絶好のターゲットとなってしまう。

しかし、華佗も曹操の悪ガキぶりに堪忍袋の緒が切れてしまい……。



華佗 ……ふふふ。

お金持ちのお坊ちゃま。是非、この薬売りに、
今一度 名誉挽回のチャンスを、くだされ。



曹操 ……ちっ。

しつこい物売りだな。

華佗 そんなコトをおっしゃらずに。

なんなら、お坊ちゃまの本当の望みを叶える薬を、
今 この場で調合しますぞ?



曹操 ……ほぅ?

俺の、望みを叶える薬、だと?

華佗 さようで。

曹操 俺の、望みがわかるのか?

……面白い、試しに言ってみるがいい。



華佗 失礼ながら、
お坊ちゃまは やや背が低いようですな。

男のコならば、心 ひそかに悩む事もおありでしょう?

曹操 ……む。

よ、余計なお世話だッ!!(怒)



華佗
しかし、この華佗は心得ておるのですぞ。

『 一気に体を成長させる妙薬 』

を、調合する方法を……ッ!


曹操 な、何だと!?
……マジで言っているのか、貴様……?

だ、騙そうたってそうはいかないからなッ!

華佗 いいえ、嘘なものですか。

……少々、お待ちくだされ。



ゴリ ゴリ( 調合 )



華佗 はい、この通り。

コレを飲めば、すぐに効果が現れましょう。

曹操 ……うう。

し、信じられん……。

華佗 ……まぁ、信じるかどうかはお坊ちゃま次第。

さて、どうしますか?
買うのならば、お代を頂きたいのですが……。



曹操 ……むむむむ……。

華佗 ………………。

( ふふふ。悩んでおる、悩んでおる )

曹操 ……うう〜〜。

い、いくらだ?

華佗 ……そうですなぁ……。

( どーやら、背が低い事を相当に気にしておるらしい。
 ここは、吹っかけてやるとするか )

曹操 い、いくらかと聞いてるのだ!?

華佗 ……他にはない薬ですからねぇ。
坊ちゃまが今 手持ちのお金を、すべて頂きましょう。

( く く く。散々、馬鹿にされたからな。仕返しだッ )




曹操 ……な、なんて悪辣なジジイだッ!

人の足元を見やがってッ!

華佗 ははは。

お金は、持ってる方から
多く取りたてるようにしているまでのことです。

曹操 …………う、うぅ〜〜〜。

華佗 ……さて、どうなされますか?

買わないのなら、買わなくても結構ですぞ?



曹操 ……も、もらおう……。

華佗 ……そうですか。では、代金を……。

( しめしめ。かかりおったわい)

曹操 ふっ。 誰が、買うと言った?

……『もらう』と言ったのだッ!

華佗 へ?



バキッ



華佗 ぐ、ぐはッ!?



曹操 こんな怪しげな薬に金など払うものかッ!?

没収するまでのことよッ!



ドカッ



華佗 ひ、ひいいいいい!(泣)

(……こ、これは……。こちらの想像を絶する対応だ…)



曹操 ジジイ、とりあえずもらっておくぜ。

あばよッ!!

華佗 そ、そんな……。

この泥棒ッ!



曹操 ……ふ。あいにくだが。

俺は人を騙す事など平気なのだ。
人から騙されるのは我慢ならねぇーけどなッ!



華佗 ( ううッ……。なんという末恐ろしいガキだ……!? )





お灸を据えるはずが、見事にしてやられてしまった華佗。

まんまと秘薬をせしめた曹操は上機嫌で立ち去ってしまう。


しかし。

果たして、華佗の渡した薬はちゃんと効くのかどうかは気になるところ。

憎まれっ子 曹操の青春物語、次回に続く!