三国劇場
男と女のラブゲーム 第3話
作: 天猿



魏の曹操が関羽に惚れこんでいたのは有名な話。

関羽が一時的に曹操の下に身を寄せていた時代もあったが、
劉備を忘れられない関羽と、曹操は決別することとなる。

……見事な別れ際を見せた曹操ではあったが。
しかし未練は断ち切れるものではなかった……。



曹操 ……はぁ……。



夏侯惇 孟徳……。

また一人で、ため息なんかついちゃって。
どうしたの?



曹操 ……うッ……。
夏侯惇か。

いや、なんでもないさ。

夏侯惇 もう……。(苦笑)
無理することないわよ。

どうせ、関羽のコトを考えていたんでしょ?

曹操 そ、そんなコトないぞッ!

関羽のコトは済んだことだ。
吹っ切っているさ。



夏侯惇 ううん、隠す事ないわ。

人を好きになるのに理屈はないし。
忘れようとしても、忘れられるものでもないわよね。

曹操 ……はは……。

オマエには、叶わないな。



夏侯惇 ……そんな孟徳を見てるのが、
つらくないと言えば嘘になるけど……。

嫉妬したところで、仕方がないものね。

曹操 …………。

いいヤツだな、オマエって。

夏侯惇 私のコトはいいの。

でも、孟徳には元気を出して欲しいと思ってる。

曹操 ……夏侯惇……。



夏侯惇 ……ね、良かったら今夜 私の家に来ない?

夏侯惇 自慢の手料理をご馳走するわよ。

美味しいものを食べたら、
少しは気分も晴れると思うけど?



曹操 ……ふふ、そうだな。
それ、悪くはない提案かもな。

確かに、こういう時はうまいモノをを食うのが一番だ。

曹操 よし。
ここはオマエの気持ちに甘えるとするか。

でも、変なモノは出すんじゃねーぞ?(笑)

夏侯惇 クス。(笑)

もぅ、意地悪なんだから!






その日の夜





曹操 おーい、夏侯惇。

なにか手伝おうか?

夏侯惇 いいの、いいの。

そこで座っていて。すぐに出来るから。



曹操 ……ふっ……。

( 本当に夏侯惇って尽くすタイプだな。
 プライドの高い関羽とは大違いだ )

曹操 ……ふふ……。

( やはり、わがままな俺には夏侯惇みたいな
 タイプが合っているのかもしれないなぁ)



夏侯惇 い、いやだわ。

孟徳ったら、さっきから私を見てニヤニヤしちゃって。

曹操 ……べ、別に。(汗)

オマエを見てたワケじゃないぞ。
ただ、その……。

曹操 そう、料理。

料理が、まだできないのか、と
気になっていただけなのだ。

腹ペコなのだからな、俺様は!!



夏侯惇 はいはい。(笑)

今、できたところよ。

曹操 おお! 待ってました♪

で、何をご馳走してくれるのだ?



夏侯惇 はい。

『目玉のスープ』に『目玉のソテー』。



曹操 ……う!?

夏侯惇 食前には、『生目玉のミックスジュース』をどうぞ。

曹操 うひぃいいいいいッ!!??



夏侯惇 もちろん、すべて無農薬・無添加物の、私の目玉。

さぁ、召し上がれ。

曹操 く、食えというのかッ!?

夏侯惇 もう、照れ屋さんなんだから。

はい、孟徳。 あ〜ん♪

曹操 やめろぉッ! 

や、やめてくれぇええええーッ!!




翌朝




夏侯惇 おい、孟徳?

今日は、妙によそよそしくないか?


曹操 ……すまぬ。
昨夜 大変な悪夢を見てしまったゆえ……。


頼むから、今日は話しかけないでくれ。