三国劇場
男と女のラブゲーム 第2話
作: 天猿



魏の曹操が関羽に惚れこんでいたのは有名な話。

しかし、自分になびいてくれない相手に対しては、
やがて熱意も冷めてしまうというもの。

そのあたり、人とは今も昔も変わらない。そして曹操も、例外ではなかった。



関羽 ……なんですって?

曹操殿、貴方が言っているコトの
意味がわからないわッ!?

曹操 わからないのか?

俺の前から、消え失せろと言っているのだ。



関羽 ……な……ッ!?



曹操 ……金銀や財物、赤兎馬、そしてヒゲ袋。
それらは、俺がオマエにやったものだ。

今さら、返せとは言わぬ。

関羽 …………ッ!?

曹操 それを持って、劉備のもとでも、どこでも、

好きなところに行けばいいッ!!



関羽 ……な、何よッ!?

この前まで、私に夢中だったくせにッ!!

曹操 …………。

関羽 急に、手の平を返したような態度だわッ!

曹操 ………………。

関羽 つまり、本気じゃなかったのね?

気のある振りをして、
私の心をもてあそんでいた、

そーゆーコトなんだわッ!

曹操 ……ふざけるな。



関羽 ……う……!?



曹操 もてあそんでいたのは、どっちだッ!?

関羽 …………。

曹操 散々 人に貢がせておきながら、

関羽の口から出てくるのは他の男の事ばかりッ!

関羽 ………………。



曹操 ありもしない忠誠心に踊らされるのは、もうたくさんだッ!

おまえとの関係は、もう終わりにしたい。

関羽 ま、まさか……!? こ、この三国一の武将の私を振るつもり?

そ、そんなコトが許されると思っているの!?
絶対、タダで済まさないわ!!



曹操 ……フン。興冷めだな。

まさかここまで
自惚れが強いヤツだったとは。




関羽 ……呪ってやるッ! 祟ってやるッ!!

体中の穴から血を吹き出して死んでも、知らないからッ!!

曹操 ……好きにすればいい。

さらばだ、関羽。









その日の夜



夏侯惇 ……し、信じられない。

孟徳が関羽を捨てて、
私を選んでくれるなんて……。



曹操 すまぬ。
今まで、ツライ思いをさせてしまった。

だが、ようやく気がついたのだ。
『一番 大切なモノ』が何か、ということに。



夏侯惇 『一番 大切なモノ』?



曹操 ……うむ。

武将の価値を決めるのは、武功でも名声でも、
ましてヒゲの美しさでもない。

曹操 ……武将にとって一番大切なモノ。

それは『主君を思う気持ち』、なのだ。

曹操 夏侯惇。
おまえが私を思う気持ちは、誰にも負けぬ。

すなわち。
オマエこそが、俺にとって一番 大切な武将なのだッ!!



夏侯惇 ……も、孟徳……。(涙)

う、嬉しい……! 
一生、アナタに付いていくわッ!!





翌朝



徐晃 ……おや?

夏侯惇殿。今日は、とても ご機嫌な様子ですな?


夏侯惇 はっはっはっ!

なに、昨夜 とても良い夢を見てしまったゆえ♪