三国劇場 |
男と女のラブゲーム 第2話 | |
作: 天猿 |
魏の曹操が関羽に惚れこんでいたのは有名な話。
しかし、自分になびいてくれない相手に対しては、
やがて熱意も冷めてしまうというもの。
そのあたり、人とは今も昔も変わらない。そして曹操も、例外ではなかった。
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……なんですって? 曹操殿、貴方が言っているコトの 意味がわからないわッ!? |
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わからないのか? 俺の前から、消え失せろと言っているのだ。 |
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……な……ッ!? |
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……金銀や財物、赤兎馬、そしてヒゲ袋。 それらは、俺がオマエにやったものだ。 今さら、返せとは言わぬ。 |
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…………ッ!? |
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それを持って、劉備のもとでも、どこでも、 好きなところに行けばいいッ!! |
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……な、何よッ!? この前まで、私に夢中だったくせにッ!! |
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…………。 |
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急に、手の平を返したような態度だわッ! |
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………………。 |
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つまり、本気じゃなかったのね? 気のある振りをして、 私の心をもてあそんでいた、 そーゆーコトなんだわッ! |
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……ふざけるな。 |
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……う……!? |
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もてあそんでいたのは、どっちだッ!? |
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…………。 |
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散々 人に貢がせておきながら、 関羽の口から出てくるのは他の男の事ばかりッ! |
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………………。 |
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ありもしない忠誠心に踊らされるのは、もうたくさんだッ! おまえとの関係は、もう終わりにしたい。 |
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ま、まさか……!? こ、この三国一の武将の私を振るつもり? そ、そんなコトが許されると思っているの!? 絶対、タダで済まさないわ!! |
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……フン。興冷めだな。 まさかここまで 自惚れが強いヤツだったとは。 |
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……呪ってやるッ! 祟ってやるッ!! 体中の穴から血を吹き出して死んでも、知らないからッ!! |
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……好きにすればいい。 さらばだ、関羽。 |
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……し、信じられない。 孟徳が関羽を捨てて、 私を選んでくれるなんて……。 |
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すまぬ。 今まで、ツライ思いをさせてしまった。 だが、ようやく気がついたのだ。 『一番 大切なモノ』が何か、ということに。 |
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『一番 大切なモノ』? |
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……うむ。 武将の価値を決めるのは、武功でも名声でも、 ましてヒゲの美しさでもない。 |
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……武将にとって一番大切なモノ。 それは『主君を思う気持ち』、なのだ。 |
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夏侯惇。 おまえが私を思う気持ちは、誰にも負けぬ。 すなわち。 オマエこそが、俺にとって一番 大切な武将なのだッ!! |
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……も、孟徳……。(涙) う、嬉しい……! 一生、アナタに付いていくわッ!! |
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……おや? 夏侯惇殿。今日は、とても ご機嫌な様子ですな? |
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はっはっはっ! なに、昨夜 とても良い夢を見てしまったゆえ♪ |