三国劇場
男と女のラブゲーム 第1話
作: 天猿



魏の曹操が関羽に惚れこんでいたのは有名な話である。



曹操 ……なぁ、関羽。

関羽の好みのタイプって、どんな男だ?



関羽 何よ、急に?
曹操殿ったら。

急にそんなことを聞かれても、困ってしまうわ。



曹操 いいから教えてくれよ。

なんとなく、気になるのだ。

関羽 ……そうねぇ、『好みのタイプ』かぁ……。

耳が自分の肉眼で見れるくらい長い人、がタイプかしら。
プロポーションは……。
手が膝下まで届くくらい長いと、理想的だわ♪(笑)

曹操 ……む……。

関羽 ……あら?

どうしたの、曹操殿?



曹操 ……べ、別に…。

し、しかし意外だな。
か、関羽って結構、趣味悪いっていうかさぁ?



関羽 ……ムカ。(怒)

趣味が悪い、だなんて失礼しちゃうわ!

どうして、そんなコト 言うのよッ!?

曹操
だ、だってさ……。関羽の言うタイプって、ようするに

『耳と手が、異常に長い人間』

……ってコトだろ? 
ハッキリ言って、そんなの不気味じゃん。

ていうか、もはや宇宙人だよ、そんなヤツ。




関羽 …………ッ!!
う、うるさいわね、余計なお世話よッ!!(怒)

この宦官の孫ッ!

曹操 …………ッ!?

関羽 間違っても、
曹操殿みたいなチビはタイプじゃないから、

安心してちょうだいッ!!

曹操 …………ッ!!

ヒ、ヒデェッ!! 
な、なんだよ、人が気にしてるコトを……。(泣)

関羽 あ〜ら?

それは悪かったわねぇ♪(笑)



曹操 ……くっ……ッ!!

言いたいこと言ってくれるじゃねーか、
このヒゲめ!!(怒)

関羽 な、なんですってッ!?

曹操 ……お、俺だって関羽みたいな
むさいヒゲヅラしたヤツは……

全然 タイプじゃねーよッ!!

関羽 ……!!

きぃいいいいッ!!
この自慢の美しいヒゲを悪く言うなんて、許せないわッ!(怒)

曹操 お〜や?

それは悪かったなぁ♪(笑)



関羽 ……大体、前から言おうと思っていたけどッ。

私には心に決めた人がいるのッ!
まとわり付かれるのは、迷惑よッ!!

曹操 ……ハッ!(笑)
いったい何を勘違いしてるんだか。
モテる俺様がオマエなんか相手にするかっての!

うぬぼれてるんじゃねーよッ!!






その日の夜



夏侯惇 …………まったく、孟徳ったら……。

アナタって人は……、本当に馬鹿なんだから。



曹操 …………グスッ……、ひぐひぐッ!(泣)



夏侯惇 どうして、そんなコトを言ったのよ?
孟徳、あなた関羽に惚れていたんでしょ?

だったら、素直に自分の気持ちを伝えれば、良かったのに。

曹操 ……う、うるさい、うるさいッ!
夏候惇なんかに、俺の気持ちがわかるものかよぅッ!?

うぉおおおおおおんッ!!(泣)



夏侯惇 ……やれやれ。

ま、孟徳のそんなところが、ほっておけないんだけどね。

夏侯惇 ( でも正直 ホっとしちゃった。

 孟徳には、関羽よりぴったりのコが近くにいるんだか
ら )

夏侯惇 (たとえば。

 幼馴染で片目の世話焼きさん、とかね♪)




翌朝



徐晃 ……おや?

夏侯惇殿、今日はご機嫌ななめのようですな?


夏侯惇 ……別に。

ただ、昨夜 不愉快な夢を見てしまったゆえ。

夏侯惇 (おのれ、関羽め。
 
 夢の中までも孟徳を苦しめるとは。まったく、ヤツだけは許せぬ!!)




天猿 : 惚れる、の意味 違ってましたっけ?