三国劇場
大人の会話
作: 天猿



呉の孫尚香が、まだ穢れを知らない少女だったころのお話



大喬 小喬 キャイ、キャイ。




孫尚香 (あら。お義姉様達が、何か 楽しそうに話しているわ。

 よし、ここは コッソリ盗み聞きしてみましょう!)




大喬 ……ねぇ、小喬。

男って、やっぱ結婚したら変わるのね。
この前も話したけど、ウチの孫策ときたら……。

小喬 やっぱり、大喬お姉様のところもそうなのね。

ウチの周瑜も、最近 アレの方はさっぱり……。




孫尚香 (アレって……?

 ひょ、ひょっとして……。きゃぁ♪)





大喬 まず、回数の方から減ってくるのよね。

新婚の頃は間を置く事がなかったのに、
最近は1ヶ月に一度とか二度だわ。

小喬 そーそー。

ウチの周瑜も似たようなものよ。それに……。

大喬 小喬 いい加減というか、おざなりというか。

毎回、同じような内容で、飽きちゃうのよねぇ〜。




孫尚香 (……そ、そんなモノなの?)





大喬
でも、そのくせ
孫策ときたらいつも口にするのよ。

『 へへっ、どうだ? けっこう、うまいものだろ?』

……ってさぁ。


小喬 そーそー。やめて欲しいよね、あのセリフ。
男って、どうしてそうなのかしら?

本当は、全然 よくないくせにさ。

大喬 あら、小喬の旦那様……

周瑜殿は、結構 上手そうじゃない?

小喬 ぜーんぜん。(笑)
はっきり言って、下手クソよ。

見てくれがいいからといって、
器用とは限らないわよ。お姉様。




孫尚香 ( ガーンッ!! 周瑜様って、下手だったんだ!?)




大喬 ま、そんなモノなのかもしれないわね。

付き合い始めたばかりのころとか結婚したての頃は、
下手なりに色々 努力してくれたから、さ。
……ついつい、甘い採点をしちゃったのだけど……。

小喬 長くいっしょにいると、
向こうも手を抜くようになってくるのよね。

そのくせ、変に自信を持っているじゃない?
嫌になるわよね。

小喬 大喬 あーあ。もうウンザリ!!




孫尚香 ( うう……。お姉様達もひどいわ。

 そこまで言う事ないじゃないッ!?)




大喬 ……そこで。

小喬、モノは相談なんだけど?

小喬 なになに? お姉様。

大喬 旦那達には、もうウンザリじゃない?

だから、思い切って外に出てみない?

小喬 ええッ!?

お姉様、ソレってひょっとして……。




孫尚香 ( ま、まさかッ!?)




大喬 ふふふ。

最近、ちょっと気になるお店を見つけたの。
旦那には、絶対 秘密なんだけど……。

小喬 どきどき。

大喬 ……ひそひそ。

小喬 ……フフ。なるほどね。
ウサ晴らしには、ちょうどいいかも♪

一人で行くには勇気がいるけど、二人なら……。

大喬 そういうこと。

よし、決まりね♪



大喬 うふふふふ。(笑)

……たまには、旦那以外の味も
楽しまないとね……。
小喬





ダダダダダダダッ!( 足音 )



孫尚香 そ、そ…ッ、そそそそっそ…ッ!!

そこまでよッ、お義姉様達ッ!! 
もう、黙って聞いてられないわぁあああ〜〜ッ!



大喬 小喬 あ、あら? 

聞いてたの?



孫尚香 お、おねぇさま〜〜〜〜ッ!! (怒)

大喬 小喬 ……う……。(汗)



孫尚香 いやらしいわ! ふしだらだわッ!

もうホントにホントに……、
信じらんないッ!!

大喬 ちょ、ちょっと……。

孫尚香 お義姉様達の不潔ッ!

尚香、大人になっても
絶対 お義姉様達のような女にならないんだからぁッ!!

小喬 そ、その……。

孫尚香 ……お義姉様達なんか、大っ嫌い……ッ……。

うわぁああああああ〜〜〜ん!!(泣)



ダダダダダダダッ!( 足音 )



大喬 ……い、行ってしまったわ……。

小喬 いきなり飛び出してきて
さんざんわめいたあげく、走り去っちゃうんだもん。

びっくりしちゃうわよね。

大喬 でも、いったい何が気に触ったのかしら?

小喬 さぁ?



大喬 ……ただ、亭主の手料理について

愚痴を言ってみたり。

小喬 有名シェフのお店での高級ランチを、

計画していただけなのにね……。




天猿 :  料理に妙な自信のある男って、結構 多いですよねぇ……。