……正史によると、華佗は曹操に仕えた人物の一人であったという……
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私の名は華佗。
《神医》とまで称されるほどの医術を買われて
曹操殿に召抱えられた。 |
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しかし。
どうやら曹操殿は、私を医者としてしか見てくれぬようだ。
本当は、儒学の教養も身につけた士大夫(知識人)としても
評価して欲しいのだが……。 |
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私の名は荀ケ。
《王佐の才》とまで評されるほどの智謀を買われて
曹操殿に召抱えられました。 |
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……しかし。
どうやら我が殿は漢王室をないがしろにしているようです。
本当は、儒学の教えに従って、漢王室に仕える丞相としての
立場を超えるマネはして欲しくないのですが……。 |
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…………………………。 |
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……荀ケ殿。
お互い、曹操殿には含むところがあるようですな。 |
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……華佗殿。
どーやら、そのようですね。 |
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曹操殿に仕えるのも、もぅ うんざりでしてね。
田舎に帰りたいのですが……。 |
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帰らせてくれないんでしょ?
殿って、本当に自分勝手ですよね。 |
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まったく腹が立つ。
どうしたものか。 |
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………………。 |
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……気が合いますな。(ニヤリ) |
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……他人という気がしませんね。(ニヤリ) |
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はははははは。 |
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ところで、華佗殿。
ひとつ、お聞きしたいことがあるのですが。 |
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なんなりと。 |
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殿はしばしば持病の頭痛で苦しみ、
痛みが増すたびに華佗殿を呼び寄せているとか。
あの頭痛は、やはり華佗殿でも治せないのでしょうか? |
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何をおっしゃる、荀ケ殿。
私は神医とまで呼ばれる男。
私に直せない病などありませぬ。 |
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……ひょっとして。(ニヤリ)
わざと完治させていないとか? |
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いい気味でしょう?(ニヤリ) |
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ナ〜イス、華佗殿♪ |
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イエ〜ス、荀ケ殿♪ |
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あーっはっはっはっはっ!! |
物陰にて
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……ほう……。
さて、あの二人。どうしたものか。 |
天猿 : ……どっちも、正史では曹操によって不幸な最後を迎えています。
曹操の後半生においては、彼らのような儒教の徒が目障りになっていったために。