三国劇場 |
一番 大切な物 | |
作: 天猿 |
私の名前は諸葛亮孔明。人よんで、伏龍。 山中の草庵にて、森羅万象ありとあらゆる学問をおさめ、 今 雄飛の時を待つ。 |
私が世に出ることをためらうのは、 私が真に仕える主をいまだ見定めていないため。 |
私にとって一番 大切なもの。それは、 『漢王室を復興するという大望』。 |
すなわち。 この乱世を終わらせ、 秩序ある治世を始めることこそが、私の夢。 その志を同じくする御方にこそ、仕えたい……。 |
……諸葛亮先生! 諸葛亮先生は、おいででしょうか? |
(……む。 扉をたたく音、あの声。 さては、また劉備殿が足を運んでくれたのか?) |
諸葛亮殿ぉ〜〜〜ッ!! |
( 劉備殿。……そして、その家臣の方々まで。 私のような一介の書生に三顧の礼を尽くしてくれるとは光栄の極み。 ここは、私もそれに見合った礼で応えねばなるまい…) |
おお、諸葛亮先生ッ! 今日こそ私の話を聞いていただきたい!! |
孔明、とお呼びください。劉備殿。 今まで、何度も足を運ばせてしまった非礼を、お許しいただきたく。 今日は、私も話を聞きたく思います。 |
おお! ようやく、誠意が報われたか。 |
我々の陣営に加わることを 考えてくれるのですな、孔明殿? |
はい。 ……ただし。 |
ただし? |
今、一度。 劉備殿、そして家臣の方々に確認したいことがあります。 |
…む? 確認したいこと、とは何であろうか? |
一番、大切な物。 皆様にとって、一番大切な物とは何でしょうか? |
もし、私とそれを同じくするなら。 ……皆様と共に歩みたく思うのですが…。 |
…… 一番、大切な物か ……。 |
はい。 皆様の一番 大切な物を答えてください。 |
酒かな。 |
ヒゲだな。 |
阿斗ちゃん。 |
何でも言うこと聞く手下共。 |
…………。 問題外です。……て言うか、おまえら帰れ。 |