……もしも、呉の二喬が悪妻で、

しかも周瑜が赤壁の戦いを避け、

二人を曹操に渡していたら……

………………。 （美姉妹の ほまれ高き呉の二喬を銅雀殿に 　迎えたいという私の夢はかなった。……しかし……）

いやーん♪ お姉様、見て見てぇ〜ｯ！！ おニューのドレス、買っちゃったー。 それも百万着ぅ〜♪

……ふっ……！　甘いわね、小喬♪ 私なんか、全ての州に別荘を造らせちゃったんだから。 もちろん、始皇帝が造った阿房宮なんて目じゃないくらい、 豪華で派手なヤツをねｯ♪

……くっ…。 お姉様、やるわねｯ！？ 小喬も負けてらんないわｯ。

ええ。 これで勝ったなど思っていないわ。 私達 姉妹の戦いは、まだ始まったばかり。 ……どちらが『傾国の美女』の名にふさわしいか…… 真剣勝負といこうじゃないｯ！！

オーッホホホホホホホホホホホｯ！！

……このままでは、 我が国の財政は確実に破綻する。 さて、どうしたものか？

……我が殿。 何を呑気なコトを言っているのですか！？

……うｯ……、荀�ｹ。 まさか、あの二人がまた何かしでかしたのか？

……は。 にわかには、報告しがたいコトですが……。

……ふふふ。 も、もはや ちょっとやそっとのコトでは驚かぬわ。

『小喬殿が、オモシロ半分に万里の長城を破壊し、 新たに純金製のヤツを造らせようとしている』 と、聞いてもですか？

げぇえええええええええｯ！？

殿、すでに我が国が発行した国債は、 年間国家予算の50倍に達しております。 早急になんとかしてくださいｯ！（泣）

くっ！！　 かくなる上は……。

お断りいたす。

そこをなんとか。 そもそも、小喬殿は周瑜殿の妻であろう？ それを、お返しいたそうと言っているのだぞ？

あいにくですが。 妻が去って以来、日々 私は穏やかな気持ちで 毎日を過ごしているのです。

せっかく手に入れた この平穏を失いたくありません。 ……今思えば、アレとの生活は地獄でした。

終わった事のような言い方をしおって。（怒） 今まさに我が国は、 その地獄に飲み込まれようとしておるのだぞッ。

ええい。 とにかく。返すといったら返すからな。 あくまで抵抗するというなら、武力に訴えるまでよｯ！！

……上等です。 そっちがその気なら、こちらも断固として戦う覚悟。 魏と呉の全面対決、といこうではありませんか。

あの二人を返されてしまえば、 我が国が滅んでしまうのですからな。

……戦争だｯ！！

やーねー。男って。 どーして、戦争ばっかりしたがるのかしら？

ねー。 戦争なんかしなくったって、 楽しいことは世の中にいくらでもあるのに〜。

オーッホホホホホホホホホホホｯ！！

……もしも、呉の二喬が悪妻で、魏に差し出されていたら……

それでも、やっぱり赤壁の戦いは起きていたかもしれない。


『歴史の流れは変えられない』という言葉もあるが
それもまた、結構 真実だったりする。