劉備に荊州を任せられ、魏への進撃を開始した関羽。
その勢いは凄まじく、一時は曹操に遷都を考えさせたほど。
しかし関羽の力を警戒する呉は
蜀との同盟を破り、関羽の後背を攻撃。
総司令官 呂蒙の計略によって、
ついに関羽は呉軍に捕らえられたのであった……。
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恥を知れぃ、呂蒙……。
蜀と呉の同盟を破り、あまつさえ荊州を奪うとはッ! |
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……ふっ……。
これ以上、蜀に力をつけさせては、
我ら呉が危うくなるのでな……。 |
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蜀と呉が争えば、魏につけこまれるだけなのだぞ。
呂蒙、貴様ほどの男がそんなこともわからんのかッ? |
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……さて……。
それはどうかな?
存外、蜀が滅んでも呉は生き残るかもしれぬぞ。ふふふふ。 |
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………………ッ!!
さては、密かに魏と呉は手を結んだのか!?
今回の呉の背信行為、影で糸を引いていたのは曹操……ッ!? |
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ふふふ。何のコトやら?
いずれにせよ、死にゆく貴公には知る必要もないことよ……ッ! |
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お、おのれぇええ〜〜〜〜〜ッ!! |
関羽の首が、魏に届いたのは それから間もなくのことであった。
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関羽ほどの男を、
このような手を使って殺したくはなかったが。
これも乱世の習い、仕方あるまい。 |
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ようやく、私も枕を高くして眠れるというものよ。
はははははははははッ!! |
……しかし……
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おのれ、呂蒙・曹操……。
……このままでは、死んでも死にきれぬ……ッ! |
無念のあまり、関羽の魂は成仏できず
亡霊となったのであった
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…………うッ!
体の調子が変だ…ッ!? |
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( この恨み、晴らさでおくべきか……。
まずは、呂蒙。貴様からだ!!
全身の穴から血を吹き出して死ぬがいいッ!!) |
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ぐはぁ!! |
呂蒙、出血死
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な、なぜだッ!?
なぜ、毎晩 関羽の夢を見るのだ……!? |
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( 次は、曹操。貴様の番だ!!
それがしの影に脅えて、苦しむがいいッ!!) |
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ひぃぃい!! |
曹操、恐怖死
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よし……。これで恨みは晴らしたぞッ! |
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ようやく、それがしも成仏できそうだが……。
その前に、兄者と張飛に別れを告げるとしよう。 |
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それがしは死んだ身。
さすがに、言葉をかわすわけにはいかぬが……。 |
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兄者と張飛の、枕下に立つだけでよい。
それで、気持ちは通じるはずだからな。 |
夜。劉備・張飛の寝室にて。
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うーん、むにゃむにゃ……。(眠) |
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……………………。 |
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(兄者。それがしは、自分で恨みを晴らしました。
ですから、仇など討とうとしないでくだされ。兄者は長生きしてくだされよ) |
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ぐー、ぐぅー。(眠) |
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……………………。 |
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(張飛よ。兄者が、それがしの仇を討とうとしたら止めてくれぃ。
桃園の誓いは、三人が共に戦おうという意味であって、
三人が共に滅びようという意味ではなかったのだからな……) |
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………………。(微笑) |
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( では、さらばだ、兄者。張飛 ) |
翌日
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……張飛。
驚かないでくれよ?
昨夜、関羽が私の枕下に立ったのだ。 |
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えッ、兄者のところにも?
俺のところにも、来たんだ。 |
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張飛のところにもか!?
何も言わず、ただニヤニヤと
不気味な笑いを浮かべていたよな? |
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うん、すっげー怖かったよ。 |
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何も言わず、笑っていたのは……。 |
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『仇討ちをするべく、呉と魏を滅ぼさなかったら、
オマエ達も曹操や呂蒙のように呪い殺すぞ』
って意味なんじゃねーの? やっぱり? |
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……やはり、張飛もそう思うか? |
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まったく、勘弁して欲しいよな。 |
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しつこいと言うか、未練たらしいと言うか。
大人しく成仏しろってんだ、あの馬鹿ッ!! |
天猿 : 未練たらしい、と言えば未練たらしいんですけどね。