三国劇場
趙雲の七日間戦争 最終回
作: 天猿




完全にグレてしまった趙雲。

劉備が頼れるのは、もはや孔明のみ。



劉備 孔明、どうしたものぞ? (泣)

孔明 不良を叩きのめすには、言葉の暴力あるのみです。

……ここは、私におまかせあれ。





趙雲 ふん。
『どうしたものぞ?』 に 『おまかせあれ』 か。

泣ける主従関係じゃねぇか、お二人さんよう?(笑)

劉備 ひぃッ!?

孔明 これはこれは趙雲殿♪

わざわざ、そちらから
出向いてくれるとは。
手間が省けて、助かります。




趙雲 へッ。長坂橋で曹操軍数万の兵を相手どって
一騎駆けを決めた俺様に、
何もしていなかった軍師様が何を言えるってんだ?

孔明 はっはっはっ。

数万の敵兵の中を駆けずり回って、
ゴミを拾ってきた趙雲殿に言われたくありませんな♪



趙雲 ……な?

趙雲 なんだとぉおおお!?(怒)

趙雲 お、俺の手柄をゴミ扱いするつもりか?



孔明 実際、ゴミを拾ってきたよーなもんじゃないですか。
あんな、頭の悪そうなクソガキを拾ってくるなんて、大迷惑です。

後で苦労するのは我々なのですよ。

趙雲 ぬ、ぬぅうううう〜〜〜〜〜ッ!!

孔明 なんです、その反抗的な目は?

いいでしょう、この際です。
はっきり言ってさしあげましょう。

孔明 実際、紙クズ程度のゴミを拾ってきたのなら、
まだ可愛げがあったんです。

しかし、あの父親似の馬鹿そうな生き物は、
間違いなく将来 蜀の国のためにならない有害物質。

孔明 いつの日か蜀が滅んだら、あんたの責任ですよ。

趙雲 ……ぐッ……!

孔明 どーせ、一騎駆けするなら
曹操の首でも取ってくればいいものを。

ただ持てあますだけのお荷物を
拾ってきて威張るんじゃないッ!
この、無能ッ!



趙雲 ……くっ……。

……ううううぅ……ッ。(泣)




趙雲 ……た、確かに……。
軍師殿のおっしゃる通りだ。

あんなモノを拾ってくるとは、自分もどうかしていた。

趙雲 目が覚める思いとは、このこと。

これからは、謙虚な姿勢を貫きつつ
罪を償なっていかねばなるまい。

孔明 よろしい。

わかっていただけたようですね?

関羽 張飛 さすがは孔明殿だ。

いやぁ、よかったよかった。





劉備 ……は、はは……はははは……。

……そ、そーだな、よかったな……はははは……。



趙雲は元に戻ったが、
孔明に対しては複雑な気持ちの劉備であった。

…… 一連の騒動で、一番傷ついたのは劉備だったのかもしれない ……




天猿 : この孔明、イヤなヤツっすね。