三国劇場 |
美髯公 | |
作: 天猿 |
関羽は美髯公(びぜんこう)と呼ばれるほど、
美しいヒゲの持ち主であったという。
また、自身も そう呼ばれることを好ましく思い、
ヒゲを大切にしていたとか。
…… そんな関羽が、ある日 劉備に呼び出され ……
兄者、それがしに話があるとか? |
……うむ。 実は、おまえに頼みたいことがあってな……。 |
おお、何でも申しつけてくだされ。 |
いや、やはり やめておこう。 この頼みをすれば、きっと おまえを 苦しめることになるゆえに。。 |
兄者、何を迷われるッ!?(憤激) 兄者の頼みなら、それがし 死をも厭わぬ! たとえ肝脳を地にまみれさせようとも、応えて見せましょうぞッ!! |
おお! では、頼もう!! |
いざッ! |
ヒゲ、剃れや。 |
ぬなッ!? |
いやー、前々から言おう言おうと思っていたんだよね。 実は俺、ヒゲの濃いヤツって生理的にダメなんだわ。 |
………………ッ! |
この際、言わせてもらうけどさぁ。 そのムサ苦しいヒゲを 大切にしているオマエの感性は、 理解に苦しむんだよ。 |
ヒゲを汚さないように 「ヒゲ袋」とかいうキテレツな物を愛用しているにいたっては、 ハッキリ言って馬鹿そのものだ。 |
……………………ッ!! |
でかい図体した男が、 アゴから袋をぶら下げて悦に浸っているのだぞ? 知らない人から見たら、 「頭の可哀相な人」にしか見えん。 |
……まったく。 常日頃より、おまえと行動を共にして どれだけ私が恥かしい思いをしているか……。 |
…………………………ッッ!! |
あれ、雲長兄ぃ? 長兄といっしょにいたんじゃなかったのか? |
ああ。 ヤツはついさっき、青龍刀のサビになった。 |
大滝 : 関羽は、自慢のヒゲを汚さないように絹の袋に入れて
顎からぶら下げていた演義のエピソードが元ネタです