三国劇場
第 2 幕
巨頭会談(後編)
作: 大滝


魏・呉・蜀の三国鼎立時代。

争いをやめさせるべく、
献帝が極秘裏に各国の王を召集して行われた
「第一回・巨頭会談」は大失敗に終った。

……しかし、平和を愛する献帝は翌年、再び話し合いの席を設けたのだった……


献帝 昨年の会議は散々であったな。

……まったく、その方ら三人ときたら……。(怒)


曹操 ……うぅ。(汗)

お、お言葉ですが、帝。
我等とて、本心では平和を望んでいるのです。


劉備 そうです。昨年は「仲直りついでに義兄弟」などと
調子に乗ったから失敗したのです。

義兄弟だと、どうしても上下関係が生まれますからな。



孫権 ( 言い出したのは、おまえだろーが )

孫権 ……いやいや。(笑)
おっしゃる通りですな、劉備殿。

今年こそは、我等三人 上下関係のない
仲良しグループとして再スタートしましょうぞ!




献帝 おお、仲良しグループとはいいのうッ!

互いにニックネームで呼び合えるような
間柄になって欲しいものじゃ。(感涙)



曹操 フム…。
確かに帝のおっしゃる通り、仲良しグループと言うからには、
それぞれのニックネームは必要不可欠だな。

普通に名前で呼び合うのは、いかにも他人行儀よ。

孫権 では、さっそく それぞれのニックネームを決めよう。

ええと、まず曹操殿は……。

劉備 …………ッ!

おお、今 曹操殿にピッタリなヤツが浮かんだぞ。

曹操 どんな?(わくわく)

劉備 『 ちびすけ 』

曹操 …………ッ!! 

き、貴様ッ!?

孫権 ぷッ、ぷぷぷッ。

可愛らしくていいではないか!? 
背の小さい曹操殿にはピッタリだッ。(笑)

曹操 …ふ、ふふふふ…。

俺にも今、劉備殿にピッタリなヤツが浮かんだぞ……。

劉備 ど、どんな?(ドキドキ)

曹操 『 手長ざる 』

劉備 …………ッ!! 

て、てめぇッ!?

孫権 ぶわはははッ。

あ、愛嬌があっていいではないか!? 
手が膝下まで届く劉備殿にはピッタリだッ!(爆笑)

曹操 く く く……。

はて、孫権殿。
呑気に笑っていてよろしいのか?



曹操 貴殿にも、おあつらえ向きなヤツを用意しておるのだが。(笑)

孫権 ど、どんな? (びくびく)

曹操 『 うおのめ 』

孫権 …………ッ!! 

や、野郎ッ!?

劉備 うひゃひゃひゃひゃッ!

シュールでいいではないか!? 
死んだ魚のように青い目をした孫権殿には お似合いだなッ!



献帝 ……ちょ、ちょっと待て、そなた達。

さ、さっきから見ておると、
どーにも仲良しグループという空気ではないような……?(汗)



曹操 劉備 孫権 ……………………。

曹操 ははは、帝。
随分と、おかしな事をおっしゃるのですな。

なぜ、この曹操ともあろう者が
『 うおのめ 』達と仲良くしなきゃならんのです?

孫権 やる気か、『 ちびすけ 』。

言っておくけど、俺の国は強ェーぜ?

劉備 ……この、クソ共めがッ。
よくも、私のような人徳の主を『 手長ざる 』などと……。

こんな屈辱は初めてだ。
たとえ我が国の民を全員 犠牲にしてでも、貴様等の国を潰してやるッ。




献帝 ははは……。
……よぉーくわかった。

つまり、そなた達が生きておる限り、
戦乱の世は終らぬのだな。(泣)