三国劇場
第 1 幕
巨頭会談(前編)
作: 大滝



魏・呉・蜀の三国が鼎立し、
にわかには大陸の統一が難しくなったころ。

三国が互いににらみ合う緊迫した情勢を解決すべく、
後漢最後の皇帝・献帝は極秘裏に
三国の王に召集をかけ、会談の席を設けた。

……これは歴史書には記されていない三國志の舞台裏の物語である……




献帝 このたびは朕の呼びかけに応じ、
三国の王が一堂に会してくれた事。

まことに有り難く思う。

献帝 この得難い機会を
無為に費やしたくはない。

さっそく本題に入らせてもらおう。

献帝 既に数十年もの間、戦乱の世が続いており、
人民は疲弊しておる。

ここは三国が戦争をやめ、それぞれ力を合わせて
平和な世を創って行くべきではなかろうか?




曹操 ……ううむ。
確かに、帝のおっしゃる通りよ。

これからの時代は平和であるべきだな。

劉備 まったくだ。

ここは、仲直りといこうではないか、
曹操殿・孫権殿。

孫権 異存はない。
仲直りする以上、昨日の敵は今日の友。

今日から我々は友人だッ!



献帝 おお、なんと話が早い。

ここまで、事がうまく運ぶとはのう……。(感涙)



劉備 よしッ!

では、仲直りついでに、
われら三人 義兄弟の契りを結ぼうではないかッ!?

曹操 おおッ!

いーね、いーね♪

孫権 さんせい、さんせーい。(笑)



孫権 ……いや、しかし。
ちょっと待てよ?

劉備殿。
関羽と張飛はどうするのだ?

劉備 ははは、もういらないっスよ。

あんなヒゲ野郎と酔っ払いより、
あなた方二人のほうが、よっぽど頼りになるもん。

曹操 わはははは。

えい、
このチャッカリさんめ。(笑)



献帝 いや、良い良い。(笑)

この三人が義兄弟となれば
天下泰平は約束されたようなものだからの。

献帝 ……で。

誰が、長兄として他の二人をおさめるのじゃ?



劉備 むろん、長兄と言えば私に決まっておりますな。

曹操 たわけ。

最年長の俺が、長兄に決まっておろーが。

孫権 冗談もホドホドにしろ。
何が悲しゅーて、この私がおまえらを
長兄とあおがねばならんのだ?

年齢など関係ない。長兄は、私にまかせろ。



曹操 劉備 孫権 …………………………。



曹操 よかろう。

こうなったら、決着をつける方法は 『あれ』 しかないな。

劉備 ほう……。
ここで 『あれ』 を持ちかけてくるか?

ふふふ、望むところだ。

孫権 確かに、な。

『あれ』 こそがあらゆる問題を解決する
唯一にして絶対の手段。

さっそく本国に帰って準備するとしよう。
くっくっく……。血が騒ぐわッ!!



献帝 ……ちょ、ちょっと待て、おまえ達。

いったい、どうやって決着をつけるというのだ?

献帝 『あれ』 とは何だ? 何なのだぁ!?(汗)



曹操 劉備 孫権 『戦争』 、に決まっているではありませんか、帝。