三国劇場 第 1 幕 |
巨頭会談(前編) | |
作: 大滝 |
魏・呉・蜀の三国が鼎立し、 にわかには大陸の統一が難しくなったころ。 三国が互いににらみ合う緊迫した情勢を解決すべく、 後漢最後の皇帝・献帝は極秘裏に 三国の王に召集をかけ、会談の席を設けた。 ……これは歴史書には記されていない三國志の舞台裏の物語である…… |
このたびは朕の呼びかけに応じ、 三国の王が一堂に会してくれた事。 まことに有り難く思う。 |
この得難い機会を 無為に費やしたくはない。 さっそく本題に入らせてもらおう。 |
既に数十年もの間、戦乱の世が続いており、 人民は疲弊しておる。 ここは三国が戦争をやめ、それぞれ力を合わせて 平和な世を創って行くべきではなかろうか? |
……ううむ。 確かに、帝のおっしゃる通りよ。 これからの時代は平和であるべきだな。 |
まったくだ。 ここは、仲直りといこうではないか、 曹操殿・孫権殿。 |
異存はない。 仲直りする以上、昨日の敵は今日の友。 今日から我々は友人だッ! |
おお、なんと話が早い。 ここまで、事がうまく運ぶとはのう……。(感涙) |
よしッ! では、仲直りついでに、 われら三人 義兄弟の契りを結ぼうではないかッ!? |
おおッ! いーね、いーね♪ |
さんせい、さんせーい。(笑) |
……いや、しかし。 ちょっと待てよ? 劉備殿。 関羽と張飛はどうするのだ? |
ははは、もういらないっスよ。 あんなヒゲ野郎と酔っ払いより、 あなた方二人のほうが、よっぽど頼りになるもん。 |
わはははは。 えい、 このチャッカリさんめ。(笑) |
いや、良い良い。(笑) この三人が義兄弟となれば 天下泰平は約束されたようなものだからの。 |
……で。 誰が、長兄として他の二人をおさめるのじゃ? |
むろん、長兄と言えば私に決まっておりますな。 |
たわけ。 最年長の俺が、長兄に決まっておろーが。 |
冗談もホドホドにしろ。 何が悲しゅーて、この私がおまえらを 長兄とあおがねばならんのだ? 年齢など関係ない。長兄は、私にまかせろ。 |
…………………………。 |
よかろう。 こうなったら、決着をつける方法は 『あれ』 しかないな。 |
ほう……。 ここで 『あれ』 を持ちかけてくるか? ふふふ、望むところだ。 |
確かに、な。 『あれ』 こそがあらゆる問題を解決する 唯一にして絶対の手段。 さっそく本国に帰って準備するとしよう。 くっくっく……。血が騒ぐわッ!! |
……ちょ、ちょっと待て、おまえ達。 いったい、どうやって決着をつけるというのだ? |
『あれ』 とは何だ? 何なのだぁ!?(汗) |
『戦争』 、に決まっているではありませんか、帝。 |