曹操の前半期を支えた謀臣。対呂布戦にて全軍の窮地を救う。

	程�c　［ 仲徳 ］　　〜　ていいく　［ ちゅうとく ］　〜
	【　生没年　】 １４０年？　〜　２２０年			分類			軍師　　戦術 型
				長所			見事なまでの、胆力と冷徹
	【　出身　】 兗州 　　東郡			短所			強情で人と衝突してばかり
				備考			人喰い疑惑あり

列伝

身長は１９０センチ以上と高く、見事な鬚（くちひげ）と髯（あごひげ）の持ち主であったという。 　もとの名は立（りつ）。曹操に仕官した際、 　泰山の頂上にて太陽をその手で捧げ持った、という自分の見た夢を語ったところ、 　曹操から�c（いく）の名を与えられた。 　曹操から信頼され、曹操が２度目の徐州を征伐した際、 　陳宮が呂布を迎え入れて叛乱を起こしたが、程�cは荀�ｹとともに留守を守り、三城を守り抜いた。 　献帝を受け入れる際にも荀�ｹと共に積極的に賛成するなど、重要な場で進言をおこなっている。 　赤壁の戦いの後は、引退を表明して外出しなかった。 　曹丕の代になって再び 衛尉に任じられるが、 　公の地位を贈られる直前、８０歳で死去。 　【 考察 】 　程�cは、曹操が抱えた数多くの謀臣達の中でも、 　ひときわ謀臣らしい謀臣である。 　冷静で現実的な程�cが、ときとして弱さや甘さをみせる曹操をうまく助けていたと言ってもいい。 　 　曹操が覇王と呼ばれるまでの存在になるまでは、 　程�cは多くの局面で的確な献策をおこなっている。 　１９４年、まだ曹操が袁紹の風下に立っていた時、 　袁紹が『人質を送ることを条件に呂布征伐を助けよう』と持ちかけてきたことがあった。 　当時、苦しい状況にあった曹操はそれを受け入れようとしたが、 　程�cが断固 反対し、取りやめさせたという。 　このとき程�cが献策をしなければ、曹操の覇業には大きな影響があったに違いない。 　赤壁の戦いの直後、曹操がかつての徐州征伐における程�cの労をねぎらった際、 　『充足を知るものは恥辱を受けない』と老子の言葉を引き、引退を表明した。 　主君の覇業に大きく貢献しつつも、晩年は恵まれなかった荀�ｹとは異なり、 　程�cの場合は身の引き際をわきまえていたのだろう。 　 　曹操が覇者として成長するにともない、軍師の立場も微妙に変わっていく。 　程�cの目は、自分自身をも冷徹に見ていたのかもしれない。 　なお、程�cが公の立場に登れなかったのは、 　かつて徐州における籠城戦にて、不足した兵糧を人肉で補ったからだという説もある。 　真実のほどは疑わしいが、それだけ程�cとは凄みをもった人物であり、 　また周囲との衝突を恐れず、しばしば讒言の対象となったことを示すエピソードでは、ある。 　もっとも、そんな人物だったからこそ、曹操からの信頼は厚かったようだ。 　『程�cは謀反をたくらんでいる』と告げ口する者すらいたが、 　曹操はいささかも信じず、かえって下賜や待遇を手厚くしたという。