董卓


降りそそぐ雨の中、一人 立ちつくす董卓。


近臣の一人が、恐る恐る声をかける。

「董太師、体を冷やしては いけません。
 ささ、ここに天傘を御用意いたしましたゆえ」


董卓は答える。

「……気遣わずとも、よい。
 ちと、濡れていたい気分なのじゃ。……今しばらくは、な……」



彼の頬をつたう、雨の滴は。

……まるで、とめどもなくあふれる涙のようにも、見えた……







なんて、ね。(苦笑)

ええ、史書のどこにも、そんな記述はないです。



……ただ。


暴虐の王、董卓にも、

降りそそぐ雨に身をさらしたくなる気分になることは、

あったのではないでしょーか?


個人的に、そう思えて仕方がないんですよ。


なお。


実際に、史書に記述されている

彼の側面を示す一節は、以下。



自ら人を遇するに礼なきをもって、人の己を謀るを恐れる

〜 「魏書」 呂布伝 〜



【 訳 】

日ごろから人に対して横暴な振る舞いをしていたので、
いつか仕返しをされるのではないかと、おびえている。





まぁ、自業自得と言えば、自業自得なんでしょーけど……。



しかし、董卓のような家柄も人望も実績もない人間が、

権力者としての地位を維持しようとするならば、

恐怖政治という選択肢以外に、道はなかったのかもしれません。



徹底的な暴虐の王、として君臨し。

狂いそうなまでの孤独と不安に、苦しみつつ。

ただ、ひたすらに破滅の道を ゆくしかなかった男。




そんな董卓が、僕はたまらなく好きです。




【 ネタバレコーナー 】

【 使用ソフト・手法 】 Painter6.0 鉛筆ツール 

【 作業時間 】 三時間 

【 参考資料 】 江川達也 氏 「日露戦争物語」 袁世凱

【一言】  ひさびさにマトモに描いた 三国志っぽいイラスト。
構図や人物の表情を含め、全体的に満足しています。